今年デビュー10周年を迎える生駒里奈。2018年に乃木坂46を卒業後は、舞台、ドラマ、映画と女優として活躍し、評価を高めている。
【写真】透明感ある笑顔は、デビュー当時から変わらず!
◆男性ばかりの稽古場でも「仮面ライダー」話で盛り上がり
俳優・池田純矢が作・演出を手掛けるエン*ゲキシリーズ第5弾となる本作は、“量子力学”をテーマに、四次元世界や超能力といった未解明のミステリーをアクションや“イリュージョンマジック”で魅せるという、演劇的インスピレーションにあふれた体感型演劇作品。生駒は、物語のカギを握る、突然テレポーテーションのように現れた記憶を失った謎の少女・ノアを演じる。
――本来ならば、昨年5月に上演予定でしたが、コロナ禍のため全公演中止に。1年越しでの上演実現となります。
生駒:エン*ゲキシリーズの前作『絶唱サロメ』(2019年)を観に行った時に、楽屋で純矢先生から直接オファーをいただいて。ちょうどそのころいろいろと考えていた時期だったのですが、自分に来たチャンスは全部挑戦しようっていう気持ちがあったので、出演させていただくことになりました。お話が新しかったし、テーマが科学ですごく面白くて、台本を読むたびにワクワクしています。
――演じられるノアという女性はどんなキャラクターですか?
生駒:ネタバレになってしまうので、ざっくりとしか言えないのですが、目的のために本当に一生懸命になれるし、仲間や人のために命を懸けて、臆することなく前に向かっていける子。ノアちゃんの考え方とか性格にすごく憧れるし、共感したいなって思うところが多いですね。
――共演陣は男性ばかりですが、お稽古場の雰囲気はいかがですか?
生駒:私が仮面ライダーが好きなのですが、(同シリーズで)スーツアクターをやられている方も多くて、そうした話題で盛り上がれるのも楽しいです。人間同士が作るものなので、ちょっと仲良くなっただけで深みが変わってくるんだな~と感じています。
◆自分を輝かせるエンターテインメントに触れていきたい 憧れは“水谷千重子”
――グループ卒業後、舞台活動にも積極的に取り組まれていますが、どういったところに魅力を感じていますか?
生駒:舞台はちゃんと形を作り上げてからお客さんの前に出て、プラスアルファを毎日積み上げられていくところが魅力ですね。準備もなしにぱっとお客さんの前に出て感動させるっていうことは苦手なので…。舞台というのは、生で動くからこその楽しみもあるし、お客さんとの会話はなくとも、コールアンドレスポンスが感じられるところ、そこにすごく魅力を感じます。
――ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品で、河原雅彦の演出、共演に松下洸平、岡本健一、シルビア・グラブらそうそうたるメンバーが顔をそろえた『カメレオンズ・リップ』での経験も大きかったんじゃないですか?
生駒:本当に大変でした。役を作るというところもそうだけど、あれだけの方々と同じステージに立つことも怖かったし…。でも、あの作品をやり遂げられたおかげで、なんとなくいろんなことができるようになったかなと思います。
――水谷千重子(友近)さんと共演した『神社にラブソングを』など、さまざまなタイプの作品への挑戦が続きますが、今後やってみたい役や作品はありますか?
生駒:「これがやりたい」という風にはあまり考えないタイプなんですが、どんどん自分を輝かせるエンターテインメントに触れていきたいという気持ちがあります。それでいうと『神社にラブソングを』は、今まで触れてこなかったコントというところがあって…。水谷千重子さんって本当にすごいんです。あの方は、もちろんですがお笑いもできるし、お芝居もできるし、歌もすごいし。表現というところに長けている方で、人も笑わせられるし、歌の力で感動もさせられて、尊敬しているんです。
――乃木坂46の1期生として2011年にデビュー。この10年を振り返るといかがですか?
生駒:10年のうち6年くらいは記憶がないんです(笑)。それくらい忙しかったし、日々の経験が信じられないくらい楽しかったし、つらかったと思うし…。本当に覚えている記憶ってここ数年、卒業してからくらいしかなくって。もったいなくて、ちゃんと覚えておきたかったな~って思いますね。
――そうすると、転機になったのはグループ卒業でしょうか?
生駒:いや、転機はオーディションに合格したことですね。あそこが一番。あれからすべてが変わりましたね。
――この10年で挫折を感じた経験は…?
生駒:挫折はないです。よく失敗したことありますか?とか聞かれるけど、たぶん最初の5年間くらいはなにも知らない状態でテレビに出ていたので、できないことがほとんどで悔しい思いをしていました。その当時は“あぁ、できなかった~”って思っていましたが、“できないことをやっているからそりゃそうだよね”って大人になった今なら、優しく過去の自分に声をかけてあげられますね。
これからきっと挫折が待っているんだろうなって思うとすごく怖いけど、落ち込んだ時に自分をどうやって回復させて次に生かせるかっていうことはなんとなく知っているので、今は、これからどんな挫折を経験するんだろうっていう怖さと楽しみがあります。
――卒業から3年が経ち、自分自身で成長したなって思うところはありますか?
生駒:物事に対してドライになりましたね。仕事に対してある種の一喜一憂がなくなったことによって、無駄な悩みというか、言葉が悪いけど「そんなことで悩んでも何も始まらないよ」っていう悩みを持たなくなりました。おかげで、効率は良くなったような気がします。
――プライベートでの変化はいかがですか?
生駒:気分転換やリフレッシュができるタイプではなかったんですが、アサイーボウルが好きなので買いに行って食べたりするようになりました。あと、25歳になったので、眉毛と爪をきれいにしようと思って。ネイルサロン行ったり、眉毛サロンに行ったり。そういうことが最近の気分転換になっていると思います。
――今後、“女優・生駒里奈”としてどんな存在になりたいという目標はありますか?
生駒:お仕事を毎年休むことなく続けられたらそれが一番かなって。個の印象が弱くならない限り、何をしていても大丈夫だと信じているので、“個”が強くて、求められるような人になれればいいなと思っています。
「昨年いろいろなものが中止となって、再演という形をとれるものって少ないと思うんですが、この『‐4D‐imetor』という作品を上演できることはすごくうれしいですし、悔しい思いをしている人がたくさんいる中、こうやって作品を生きさせることができることは本当に奇跡なんだってすごく感じた1年だったので、しっかり責任をもって演じたい」と真摯(しんし)に語る生駒。悩み迷いつつも、さまざまな人や作品に磨かれ、一歩ずつ着実に自分のペースで、生駒里奈という唯一無二の“個”に近づいている印象を受けた。
エン*ゲキ#05『‐4D‐imetor』は、8月5日~15日に東京・紀伊國屋ホールにて、8月28日~29日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。8月5日19時公演ではライブ配信も実施(詳細は公式サイトにて)。