吉高由里子、松下洸平、井浦新が共演する金曜ドラマ『最愛』(TBS系/毎週金曜22時)。SNS上では、『アンナチュラル』『MIU404』(共にTBS系)の新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督が仕掛けるオリジナルサスペンスのストーリー考察や、殺人事件の容疑者として疑われる吉高の迫真の演技が話題を集めている。

そんな本作で、松下演じる刑事・宮崎大輝と共に吉高を捜査する桑田仁美役を演じる佐久間由衣にインタビュー。佐久間が、吉高や松下の現場での様子や本作の魅力を明かしてくれた。

【写真】松下洸平&津田健次郎とのチームワークも見どころ!『最愛』佐久間由衣の場面写真

◆「女性刑事のイメージに縛られず、自由に」―監督からの言葉を胸に自分に落とし込んで演技

 完全オリジナルとなる本作は、殺人事件の重要参考人となった実業家・真田梨央(吉高)と、梨央の初恋の相手で事件の真相を追う刑事・宮崎大輝(松下)、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)の3人を中心に描くラブサスペンス。

 塚原監督の作品を観ていたという佐久間はオファーを受けた際の心境を「驚きましたし、うれしかったです」と笑顔で回顧するも、「私は、サスペンスやミステリーの作品を観ると、読み解くのに時間がかかってしまって。今回は演じる側なので、置いていかれないようについていきたいと思いました」と苦笑いしながら打ち明ける。

 若い女性警察官たちから頼りにされる姉御的存在の桑田を演じる佐久間。塚原監督からは「ドラマでの女性刑事というとある程度のイメージがあると思うけど、それに縛られずに自由にやってほしい」と言われたそうで、「女性刑事だからといって、向上心むき出しで男前なわけでもなく、逆にナヨナヨしているわけでもなく、中性的な存在にしたくて。自分が刑事だったらどういう事に興味や疑問があるかと、自分に落とし込んで演じるように心がけています」と言及。普段の自身は頼られる存在ではないそうで、「三人きょうだいの長女ですが、両親や妹、弟から心配されて育って。友達も基本的にしっかりした子が多く、くよくよした時に背中を押してもらっています」と苦笑い。「桑田は自分とは少し違う役ですけど、少しだけ抜けている感じが出て、人間らしくなれば」とほほ笑んだ。◆コンビを組む松下洸平は「頼もしくて尊敬する先輩」

 現場の雰囲気はとても和やかだそうで、「皆さんがそれぞれアイデアをディスカッションされている時間が多く、置いていかれないように必死です。
耳を常にダンボにして、皆さんが言っていることや、監督が他の方に演出されている言葉を聞き逃さないようにしています。それは私だけではなく、皆さんがそんな空気感ですね」と告白。

 劇中では、同じ刑事役の松下や津田健次郎との共演シーンが多いが、佐久間は「お二人は本当にすてきで。松下さんや津田さんとの関係性の中で生まれてくるものがきっとあると思うので、そこを大切にしています」と凛々しい表情。

 コンビを組む大輝を演じる松下とは撮影中、監督を交えて役柄について話すことも多いという。「たくさん相談にのっていただいていて、とても頼もしくて尊敬する先輩です。松下さんは優しくて穏やかで、一緒にいる人たちを緊張させないような空気感をお持ちの方ですし、現場を笑わせてくれるようなお話をされるなど、面白い一面もあります。撮影の合間では、役のことはもちろん、好きな食べ物の話やアートのお話をしています」とエピソードを披露。

 桑田が大輝にハンドクリームをつけるくだりは台本に書かれておらず、その場のアドリブで決まったという。「塚原さんがリップクリームやハンドクリーム、日焼け止め、虫よけなど、桑田にいっぱいアイテムを用意してくださって(笑)。当日の撮影シーンをまとめた割本に、塚原さんが“桑子、ハンドクリーム”って書かれていたりするので、それに合わせていろいろと試しています。松下さんの手につけるのは最初勇気がいりましたが、勢いでやってみました。
松下さんはナチュラルに『何これ? べたべたするな』とおっしゃっていました(笑)」。

◆上司・津田健次郎のチャーミングな芝居に魅了

 上司役の捜査第一係長の山尾を演じる津田について聞くと、「刑事役で難しい言葉がたくさん出てくるんじゃないかとおびえていましたが、その役割は全部、津田さんに回っていました(笑)。それを、津田さんがしびれる言葉でおっしゃっているのがかっこいいんです。とても物腰が柔らかい方で、見ていて癒やされるような空気感をまとっていらっしゃいます」と爽やかな笑み。

 「台本に書かれていないことをチャーミングにお芝居をされることが多いんです。アドリブを受けたときは、うれしかったですね。津田さんの『桑…』と名前を思い出せないお芝居に、私も自然と返せて。津田さんがそういうシーンを作ってくださったのはありがたかったです」。

 山尾と桑田のシーンはサスペンスの中、癒やしパートを担っているが、「後半、ストーリーはどんどんシリアスになっていきますが、桑田は自由度を失わずに、桑田なりに事件に挑んでいきたいです」と意気込んだ。

◆吉高由里子は「現場を照らす太陽」

 第4話では吉高との共演シーンも増えていくが、吉高については「いつも明るくて大きな声で笑っていらして、現場を照らす太陽みたいな人。けど、梨央さんになった時のミステリアスさを秘めたお芝居が本当にすごくて、鳥肌が立ちます。切り替えがすごいです!」と大絶賛。
「内容的にはシリアスですが、撮影中はいろんなお話をしてくださって。吉高さんにおすすめのカレーのお店を教えていただき、食べに行った報告をしました」と茶目っ気たっぷりの顔で明かす。

 15年前の失踪事件と現代で起きた殺人事件が軸になり、シリアスな物語が繰り広げられていく本作。オリジナル作品ということで先が見えない中で演じる難しさもあるが、「毎回、台本をもらう時はドキドキしながら読ませてもらっています。ゴールが見えないからこそ、あまり頭で決め過ぎず、その瞬間を生きていくのが楽しい」と口にし、「正解がないからこそいろいろできるけど、ある程度の軸を持っていないと、キャラクターがぶれてしまうので気を付けたいですね」とも。

 「私自身もこれからどうなっていくのか、本当に全く分からないまま、楽しみながら撮影させてもらっています。これからもいろんな事件が起きるので、いろいろ考察しながら楽しんでほしいです。個人的に、桑田が三角関係にグッと足を踏み入れる瞬間もあるので、そこにも注目してもらえたら」と笑顔でアピールしていた。(取材・文:高山美穂)
 
 金曜ドラマ『最愛』は、TBS系にて毎週金曜22時放送。

編集部おすすめ