現在放送中の大河ドラマ『青天を衝け』で主人公・渋沢栄一を演じる吉沢亮。行動力があり「世の中の幸せ」を考えながら生きる栄一を演じる姿は眩しいほどに輝いている。
【写真】気品と美しさあふれる吉沢亮
■約1年半栄一を演じて得たもの「積み上げてきたものがちゃんと形になっている」
――最終回が目前に迫っています。改めて今感じる大河ドラマのおもしろさや大変さを教えてください。
吉沢:大変な部分でいうと、栄一がめちゃくちゃおしゃべりな役というのもあるんですけど、一番はセリフ量です。とんでもないセリフ量を短期間で覚えて一気に消費して、ということを1年以上繰り返す。なかなか他の現場では味わえない苦労はありました。
でも「物理的に追い詰められながらもクオリティの良いものを出し続ける」という役者としての基礎みたいなものはすごく鍛えられた気がします。やっぱり純粋に約1年半かけてひとつの役をこの濃度で演じ続けたことで、役の染み込み具合や“何もしなくても栄一として立っていられる安心感”を感じます。自分が積み上げてきたものがちゃんと形になっているのを肌で感じるので、それはすごくうれしいです。
――クランクインのときは頭が真っ白だったとおっしゃっていましたが、最終回が迫る今、ご自身の中での変化や成長は感じていますか?
吉沢:いまだに無我夢中ではあります。余裕を感じている瞬間はそこまでないです。
――ずっと初心を忘れずに?
吉沢:初心は忘れられないです。変化や成長は終わったあとに気づくんだろうなと思います。長ゼリフをしゃべることが多いので、そのリズム感など技術的な部分で身になってるな、と思う部分はいっぱいあります。
■晩年の栄一は「細かく年をとっている」芝居を細かく作り上げる
――1年半栄一を演じてきましたが、役はすぐに抜けそうですか?
吉沢:正直、ちょっと分からないです。僕は割と終わったらすぐ切り替えられるタイプだとは思ってはいるんですけど、これだけ長いことやって、いろんな年齢のお芝居をしてきたので、等身大の27歳を完全に忘れてる気がしています。一気に老けたりしないかなっていう不安が(笑)。終わったら全力で切り替えて次の役に向かわなきゃな、とは思います。
――第37回では50歳まで、物語の終盤では91歳まで演じられますが、現在27歳の吉沢さんにとっては未知の年齢だと思います。
吉沢:晩年の80歳、90歳が近くなってきたときに、その年齢感を意識しすぎると、どうしても栄一としてのエネルギーや勢いみたいなものが落ちていっちゃう。そこの塩梅は監督と相談しながら迷いながらもやっています。
話している言葉のスピード感や声質、体の動き…例えば、後ろを振り返るときに首だけでいかずに体全体でいく、とか「細かく年をとっている」という芝居を細かく作っています。
――年齢に引っ張られすぎないように、ということですか?
吉沢:そうですね。1話から続いている栄一のエネルギーは最後まで持ちたいので、そこを一番に考えています。
■刺激を受けた草なぎ剛との共演
――本作は栄一と慶喜の関係性も見どころですよね。2人の関係は終盤まで続きますが、1年半ほど演じて慶喜役の草なぎさんとの距離感は変化しましたか?
吉沢:意識的に距離を置こうと思ったわけでは全然ないのですが、基本的には撮影の合間に話すことはあまりなかったんです。栄一と慶喜の関係性に引っ張られているのかは分からないですが、やっぱり僕の中には草なぎさんに対する緊張感がありました。終盤になって2人で取材を受ける機会もありましたが、だいぶ緊張していました(笑)。でもその緊張感もほどよく芝居に乗っていたのかな、という気がして、それはそれでよかったと思っています。
2人で相談して作り上げるというよりかは、お互いから出るものをその場で拾ってキャッチボールして、みたいな空気感でした。特殊といえば特殊だったかもしれないです。
――草なぎさんとの共演でどのような刺激を受けましたか?
吉沢:草なぎさんのお芝居は、芝居の上でのプランみたいなものがまったくわからないんですよ。本当にその場に慶喜としているだけで、草なぎさんの存在が0になる。何を考えているかわからないから、お芝居をしていてすごく不安になるんです。
だからこそこっちも良い方向に引っ張ってもらえるし、草なぎさんとお芝居している瞬間でしか生まれない緊張感みたいなものがあって、役者として同じ仕事をしている人間としても「すごいな」と思うことばかりでした。刺激をたくさんいただきました。
――改めて、今後の見どころを教えてください。
吉沢:この先の慶喜とのシーンは泣けるシーンばかりです。2人の最後のシーンは、言ってしまえばこの作品のテーマを語っているシーンなのでグッときます。
栄一の立場や年齢感、置かれている状況はどんどん変わっていきますが、彼が最後まで落ち着くこともなく、ずっと何歳になっても情熱を持って、ときに空回りしながらやっていくというスタイルは最後まで変わりません。熱量は落ちず、最後まで勢いのある作品として突っ走れるのかなと感じています。普段生きていて常に触れているようなものが生まれる瞬間がどんどん描かれていったりするので、話は難しくなってもいくけれど、より親しみやすくなっていると思います。(取材:文:山田果奈映)
大河ドラマ『青天を衝け』は、NHK総合にて毎週日曜20時、BSプレミアム、BS4Kにて毎週日曜18時放送。

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