北朝鮮で警察機能を担う社会安全省が、全国の主要都市で新型メディアプレーヤーの取り締まりに乗り出した。
デイリーNKの情報筋によると、取り締まりは今月19日から一斉に始まり、「今年上半期、青少年の間で不純な映像や文書ファイルが拡散したとの社会安全省の報告を受け、党中央が承認した公式な指示だ」と語った。
特別取り締まり班は、交差点やバス停、市場周辺など人通りの多い場所で、民間人を装って接近し、身分証を提示してから手荷物検査を行う。メディアプレーヤーが見つかれば、USBやSDカードが挿入されているか確認し、保存された動画や文書を詳しく調べる。
対象機器は「MP7」「MP8」と呼ばれる電子機器で、中国から国境地帯や平壌近郊の南浦港を経由して持ち込まれている。国外情報を閲覧できる再生機器として注目されるが、当局には脅威と見なされている。
韓国の映画やドラマ、バラエティ番組、宗教文書などを閲覧できるこの機器が流入すれば、平壌をはじめ、流通拠点の主要都市を通じて全国に拡散しかねないため、重点的な取り締まり対象となっている。
社会安全省は「新型機器は青少年の思想を損ない、反党・反国家的行為に使われている」とし、記録されたデータを入念に確認し、危険度に応じて安全部での取り調べや、国家保衛省(秘密警察)への引き渡しを指示したという。
ただ、取り締まりの噂がすぐに広がり、青少年たちはプレーヤーを隠したり、USBやSDカードを抜き取って保管したりするなどの対応を取っているとされる。
(参考資料:泣き叫ぶ家族を白昼に連行…北朝鮮で「最も残酷な光景」)
情報筋によれば、安全員の一部からは「機器が広まってから取り締まるという後手対応を繰り返してはならない」「MP7やMP8は登録制または回収で制度的に管理すべきだ」との声も上がっている。
さらに、「新型機器を一律に有害と決めつけず、学習目的に限って使用を認めるなど、利用基準を明確にすべき」との意見も出ている。