北朝鮮当局が最近、艦艇の座礁事故を隠蔽したとして、艦隊司令官など海軍関係者10人余りを粛清したと、韓国紙・朝鮮日報系のTV朝鮮が12日に報じた。

ここで言われている座礁した艦艇とは、先月21日に進水に失敗した新型駆逐艦とは別のものだ。

TV朝鮮が韓国政府筋の情報として報じたところでは、これより1カ月前の4月にも艦艇座礁事故があったという。

政府当局の関係者はTV朝鮮に対し、「海上作戦中だった艦艇1隻が沈んだが、これを上部に報告せずに隠蔽しようとする試みがあった」と伝えました。

しかし、この事故の事実が明らかになり、艦隊司令官や政治委員など幹部10人ほどが平壌にある姜健総合軍官学校で銃殺されたという。

TV朝鮮は、21日の進水失敗事故で金正恩総書記が激怒した背景には、こうした度重なる不祥事が影響したものと分析している。

一方、朝鮮中央通信は13日、事故により一時、横倒しになっていた5000トン級の新型駆逐艦の修復が終わり、12日に北東部の羅津(ラジン)造船所で改めて進水式が開かれたと報じた。新型駆逐艦の進水は今年2隻目だ。

式典に出席した金正恩氏は、来年以降も毎年2隻の駆逐艦を建造し、太平洋に進出できる遠洋作戦能力の確保を目指すと演説した。

こうして進水失敗事故は一応の幕引きになったように見えるが、責任者たちの処罰はこれからだろう。事故の発生当時、金正恩氏は「到底容認できない深刻な重大事故で、犯罪的行為」だと断罪した。

北朝鮮において、最高指導者から「犯罪的行為」と指摘されることは、死刑宣告を受けるに等しい。

現に今年1月27日に開かれた朝鮮労働党中央委員会第8期第30回書記局拡大会議で金正恩氏は、地方幹部が党の規律に違反し農民に不利益を与えた件について「地方の権力乱用者、官僚主義者」による「許しがたい特大型の犯罪事件」であると断罪した。

これを受け、10人余りの幹部が住民らの前で公開処刑されたという。

金正恩氏による断罪が、実質的な死刑判決となった形だ。

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