未来科学者通り、黎明(リョミョン)通り、和盛(ファソン)地区、松新(ソンシン)·松花(ソンファ)地区など、金正恩政権に入ってから首都・平壌市内に建設されたタワマン団地は数多く存在する。

平壌5万戸住宅建設計画に基づき建設されたものだが、深刻化する平壌の住宅難を解消しつつ、高級マンションを大量に供給して、「赤い貴族」と呼ばれる核心層の忠誠心を繋ぎ止め、さらに「映える」建物を次々と建ててプロパガンダに利用するなど、様々な思惑が見え隠れする。

計画に含まれているのはタワマンばかりでなく、小規模なマンション群もある。全体としては1年間に1万戸、5年で5万戸を供給するというのが金正恩総書記の計画だ。

しかし、目立つところばかりが優先されており、ここ数年で平壌市内に、建設途中で工事がストップしてしまったマンションが増えていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は伝えた。

平安北道のある情報筋は、「先月、平壌に出張に行った際、大学時代から親しくしている友人に会った」と述べた。その彼は、元々市内の普通江(ポトンガン)区域に住んでいたが、当局が住んでいたマンションを立て直すことになり、現在は一時的に別の区域にある弟の家で暮らしている。

しかし、その工事は滞っているという。

「アパートの骨組み工事はずいぶん前に終わったが、内装工事が進まず野ざらしになっている。今年で4年目になるが、友人はまだ同居生活を続けている状況だ」(情報筋)

情報筋は、「当局が和盛地区の新街区建設に労力と資材を総動員しているため、平壌市内の各所で小規模に建設されているマンションが、仕上げ資材の不足で骨組み工事が終わってから2年近く経つが、仕上げはまったく進んでいない」と述べた。

朝鮮戦争中の爆撃で徹底的に破壊された平壌には、旧ソ連からの援助で多くのマンションが建てられた。老朽化が進んだため再建築が進められているが、見栄えがするところや、金正恩氏が現場を訪れたところなど、政治的に意味のある地域での建築ばかりが優先されるようだ。

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