北朝鮮当局は、中国との国境に接する地域に住む30代女性を、内部情報流出容疑で緊急逮捕した。両江道のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
恵山在住のキムさんは今月7日、国家保衛省(秘密警察)の指示を受けた両江道保衛局により逮捕された。数年間にわたり、韓国に内部情報や機密資料を渡していた疑いが持たれている。
国家保衛省がどのような根拠でキムさん逮捕の指示を出したのか明らかになっていないが、保衛局内部では、彼女と連絡を取り合っていた韓国側の相手がハッキングされたことで、今回の事案が明らかになったと見られている。
北朝鮮当局は、ハッキングを専門とする組織を運用しており、韓国在住の脱北者をはじめとする個人や、政府や研究機関などを対象に執拗なサイバー攻撃を仕掛けている。それにより外部流出している情報や機密資料の内容を把握し、流出させた者を逮捕していると見られている。
保衛員8人は、平壌からの指示が下された後も彼女をしばらく泳がせ、約7時間にわたって張り込み、キムさんが韓国と連絡を取るタイミングを狙っていた。そして電波が探知された瞬間に玄関から踏み込んで彼女を逮捕した。
情報筋は、電波探知機に引っかかって逮捕されたように見せかける意図があったと指摘している。
彼らはその後、3時間に及ぶ家宅捜索を行い、中国製の携帯電話1台と5万元(約100万円)の現金を発見、それらを押収した後、彼女を連行した。厳しい取り調べで、2022年3月から韓国に情報を渡していたと供述したとされる。
情報筋によると、彼女は保衛局に拘束された状態が続き、釈放は困難と見られている。これは、韓国と連絡を取ったことそのものがスパイ行為と見なされるためだ。
情報筋によると、中国製の携帯電話を使っている地域住民や彼女と関係のある人々は恐怖に震えているが、今のところ、彼女の関係者の中で取り調べや逮捕を受けた者はいないという。