朝鮮戦争勃発75周年となる6月25日、北朝鮮は再び「力こそが生存の道だ」という国民向けメッセージを打ち出した。朝鮮労働党機関紙・労働新聞はこの日、1面の記事で「我々が信じるべきは自らの力だけだ」として、伝統的な「自力更生」の方針を強調した。
最近の中東情勢、特にイスラエルのイラン攻撃を見ながら、北朝鮮がこのスローガンをいっそう切実に再認識している可能性がある。
労働新聞はこの日、「もし我々が当時、今のように強かったなら、侵略者が果たして戦争の火をつけることができただろうか」とし、75年前の朝鮮戦争に繰り返し言及。1950年6月25日に北朝鮮が引き起こした戦争を「米帝の侵略戦争」と規定し、1953年7月27日の休戦を「戦勝」として描いている。
記事ではさらに、「時が経つほど敵対勢力の挑発はより露骨かつ狡猾になった。強くなければ再び血の風が吹く」といったメッセージを繰り返した。北朝鮮が経済難や住民の不満を統制するために用いる伝統的な手法と言える。
注目すべきは北朝鮮の対外メッセージだ。最近のイスラエルによるイラン核施設への攻撃後、北朝鮮は従来の「中東反米連帯」とは異なり、イランへの直接的な支持を避けた。代わりに「米国がイランの主権を侵害した」という原則的な非難にとどまった。
北朝鮮専門メディア「38ノース」は24日、「北朝鮮はイランとイスラエルの衝突に対して、ロシアと調整した上で慎重なトーンで発表したようだ」と分析した。実際、北朝鮮外務省の最初の公式談話は、イスラエルの攻撃から6日も経ってから発表されており、それは金正恩氏がロシア国家安全保障会議のショイグ書記と平壌で会談した直後だった。
談話ではイスラエルを「中東の平和にとっての癌的存在」と強く非難したが、米国への批判は以前に比べて抑えられ、イランへの「全面的支持」といった表現も見られなかった。代わりに「国際法違反」といった表現にとどまった。
北朝鮮がイランへの言及を控えた背景には、ロシアとの戦略的利害関係があるという分析が有力だ。ロシアは中東紛争において、イランとの連携よりもエネルギーや軍事的覇権の維持を優先しているとされる。北朝鮮はロシアと軍事・経済協力を拡大している中で、プーチン大統領の立場に歩調を合わせた形だ。