自由旅行が許されない北朝鮮では、案内員(ガイド)が必須だ。こうした職業に就く人材を育てる大学が、地方の幹部の子どもたちの間で人気を集めている。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

北朝鮮は過去10数年、白頭山、七宝山、元山葛麻地区を観光地に指定し、施設を建設するなどして観光業に力を入れてきた。

咸鏡北道の情報筋は、「最近は地方の幹部や裕福な家庭の子どもたちが、平壌観光大学を志望することが多い」と語る。「進学は狭き門だが、それだけ観光分野の将来性が期待されている」とも述べた。

5月初め、外国語学院で卒業学年の生徒に希望進学先を尋ねたところ、多くが第一志望に平壌観光大学を挙げたという。かつては平壌外国語大学が最も人気だった。

平壌観光大学は2014年に設立され、ガイド通訳や観光経営の専門家を養成している。その起源は1987年、国家観光総局傘下の観光学校にさかのぼる。

「外大を出て外務省などに入るのが理想だが、地方の子どもが合格するのは難しく、より現実的な選択として観光大学を目指す」と情報筋は話す。

さらに、「案内員は普通の労働者の子どもには到底望めない“夢の職業”であり、進学や就職の格差は広がっている」とも語った。

別の情報筋は、知人の幹部の息子が平壌観光大学に入学し、両親が喜んでいると話す。今年はロシア語を学ぶ学生が多く、彼もその一人だった。

また、各道にある外国語学院は幹部やトンジュ(金主)の子どもたちばかりが通い、一般の労働者や農民の子どもはいないという。

観光大学の人気の背景には、旅行会社が地方にも設立されたことや、観光業が生活に有利で洗練された印象を持たれていることがある。

観光客から受け取るチップも魅力の一つだ。100元(約2000円)は一般労働者の4~6ヶ月分に相当し、コメ30キロ以上が買えるという。

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