朝鮮人民軍総参謀部のコ・ジョンチョル副総参謀長(陸軍中将)は22日、韓国軍の国境付近での射撃行為を「危険な挑発」と非難する談話を発表した。

談話によれば、8月19日、韓国軍が南部国境で遮断物の設置作業を行っていた北朝鮮兵士に対し、大口径機関銃で10発余りの警告射撃を実施したという。

コ副総参謀長はこれを「統制不能の事態を招く重大な挑発」と強調した。

北朝鮮側は現在、南部国境を恒久的に封鎖するための遮断物工事を進めており、「緊張を和らげるための措置であり、誰に対しても脅威ではない」と説明。さらに、6月と7月に米軍へ事前通報を行い、米軍も工事活動が北朝鮮の主権領域内で行われていると確認したと主張した。

しかし、その後も韓国軍による拡声器放送や威嚇行為が続いているとし、「軍事的衝突を狙った計画的・意図的挑発」と糾弾。大規模合同軍事演習と時期を同じくして事件が起きた点も「米韓の腹黒い下心を示すもの」と批判した。

コ副総参謀長は「工事を妨害する行為が続く場合、それを軍事的挑発と見なし、相応の対応を取る」と警告。さらに「重大な結果が生じた場合、その責任は韓国側と米国にある」と主張し、軍事的緊張の責任を相手に転嫁した。

同通信の報道全文は次のとおり。

朝鮮人民軍総参謀部のコ・ジョンチョル副総参謀長(陸軍中将)が談話発表

【平壌8月23日発朝鮮中央通信】朝鮮人民軍総参謀部のコ・ジョンチョル副総参謀長(陸軍中将)が22日に発表した談話「南部国境一帯で軍事的衝突を引き起こさせる危険な挑発行為を直ちに中止すべきだ」の全文は、次の通り。

8月19日、韓国軍の好戦狂が南の国境線付近で遮断物永久化工事を行っているわが軍人に12.7ミリの大口径機関銃で10余発の警告射撃をする重大な挑発行為を働いた。

これは、膨大な武力が対峙している南部国境一帯の情勢をあくまでも統制不能に追い込むごく憂慮すべき兆として、わが軍は現況について特別に注目している。

現在、わが軍は正常な国境強化活動の一環として、大韓民国と接した南部国境を永久的に封鎖するための遮断物工事を行っている。

共和国の主権行使領域と大韓民国の領土を徹底的に分離させるのは、軍事的に鋭敏な南部国境一帯の緊張激化の要因を取り除き、安定的環境を保証するためのものとして、誰にも脅威にならない。

南部国境一帯での遮断物工事に関連してわが軍は、誤解や偶発的衝突を防ぐための意図からすでに去る6月25日と7月18日、2回にわたって韓国軍への統制権を握っている米軍側に当該の内容を通知した。

これに対して米軍側も、緊張緩和のための誠意ある措置として受け止め、わが人員の工事活動が徹底的にわれわれの主権領域内で行われていることを確認したことがある。

にもかかわらず、われわれの工事の人員を刺激する挑発行為は依然として続いており、むしろ一層悪意的に変化して爆発的に急増している。

かつて、一つや二つの監視所に限られて繰り広げられていた拡声器挑発放送が次第に、韓国軍の第3、第6、第15、第28師団など、複数の部隊へ拡大しており、今や「射撃する」という威嚇的妄言が日常茶飯事となっている程度である。

先日、韓国軍の高位関係者が「安保および備え態勢の維持」を口実に、南部国境一帯でわれわれを刺激する警告放送を引き続き実行するとメディアに公然と公開したのを見れば、米軍側がわれわれの事前通報をどのような立場で接しているのかがよく分かる。

特に、韓国地域で大規模合同軍事演習が強行されているのとタイミングを合わせて今回の事件が発生したのは、徹頭徹尾、軍事的衝突を狙った計画的かつ意図的な挑発行為であるとしか他には考えられない。

諸般の事実は、われわれとの軍事的対決を追求しようとする米国と韓国好戦狂の腹黒い下心が、少しも変わっていないことを如実に実証している。

私は、南部国境の管理と警備・安全に責任を持つ指揮官として、われわれの主権守護に必須の南部国境要塞化工事を緊張激化の原因として悪用しようとする危険極まりない挑発行為を即時中止することを強く求める。

もし、軍事的性格と無関係な工事を拘束したり、妨害する行為が続く場合、わが軍はそれを意図的な軍事的挑発と見なし、それ相応の対応措置を取ることになるであろう。

今までわが方は、米軍側が通知した韓国軍の兵力と装備はもちろん、航空機の煩雑な国境線付近の活動について一度も問題視したことがない。

このことから私は、膨大な武力が先鋭に対峙している南部国境一帯で相手の事前通報が無視される危険極まりない状況が生じる場合、それから招かれる重大な悪結果に対する責任は決してわれわれにはないということを明確にしておく。

朝鮮人民軍総参謀部は、今後の事態発展を鋭く注視するであろう。---

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