北朝鮮が韓国ドラマやK-POPなど外国文化を視聴・流布した住民を公開処刑していた事実が、今月発表された国連の最新人権報告書でも確認された。報告書は2014年に国連が北朝鮮の反人道的犯罪を公式認定して以来、10年ぶりに出された後続検討で、北朝鮮における個人自由の弾圧がいっそう深刻化していると指摘した。
報告書は脱北者ら300人以上の証言を基に作成され、「技術発展で監視が緻密化し、新型コロナ以降、死刑執行は増加した」と明記。ジェームス・ヒーナン国連高等弁務官ソウル事務所長は「韓流ドラマを拡散した住民の一部が実際に処刑された」と認めた。フォルカー・トゥルク国連人権高等弁務官も「北朝鮮住民が長年耐えてきた抑圧と恐怖はいっそう強まっている」と深刻な懸念を表明している。
実際の証言も衝撃的だ。今年6月、ソウルで行われた国連人権事務所の証言集会で脱北民キム・イルヒョク氏は「知人の22歳青年が韓国ドラマ3本とK-POP約70曲を広めたとして公開銃殺にされた」と語った。さらに「公開処刑は3か月に2度の頻度で行われ、一度に12人が銃殺された例もあった」と明かした。
北朝鮮は2020年12月、「反動思想文化排撃法」を制定し、韓国の映像物を流布すれば死刑、視聴だけでも最長15年の懲役刑を科すと規定。脱北者らによれば、この法律は実際の処罰根拠として活用され、当局は携帯電話の検閲を強化。メッセージにハート絵文字を使ったり「オッパ」といった表現を保存したりしただけでも摘発対象となる。
ある女性脱北者は「以前は韓国コンテンツを見つかっても当局者に数百ドルの賄賂を渡せば見逃してもらえたが、近年は(命が助かるための)額が跳ね上がり、いつ銃殺されるか分からない恐怖の中で暮らしていた」と証言した。
報告書はまた、政治犯収容所の運営や拉致被害者を含む数十万人の失踪者の行方不明問題を指摘。2014年に示された国連北朝鮮人権調査委員会(COI)の19項目の勧告の大半が履行されていないとした。
国連は北朝鮮の人権状況を国際刑事裁判所(ICC)に付託するよう呼びかけているが、安全保障理事会では常任理事国である中国とロシアが反対し続け、議論は止まっている。