北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は5日、首都・平壌で開幕した武力装備展示会「国防発展―2025」の関連行事として、朝鮮人民軍海軍の新型駆逐艦「崔賢(チェ・ヒョン)」号を視察した。朝鮮中央通信が6日に伝えた。
通信によると、金総書記は党・政府・国防・安全機関の高官らとともに「崔賢」号を訪れ、艦長の案内で主要な武装装備や艦内各所を見て回った。金氏は「祖国の海上に堂々と浮かぶこの超強力の軍艦は、主体的国防力強化の確かな証拠であり、わが党の自衛的国防路線の正当性を雄弁に物語る」と述べ、国産兵器開発の成果を強調したという。
また、艦名の「崔賢」は抗日闘争時代の英雄である崔賢氏にちなむとされ、金氏は「烈士の不屈の戦闘精神を新世代の海兵たちに継承させる象徴だ」と述べた。さらに、「守護者の最強の力は装備の威力に先立ち、思想的精鋭化にある」として、政治思想教育の重要性を改めて強調した。
金総書記は艦の兵士たちを激励し、「海軍の強大な実力は敵の挑発を徹底的に抑止し、必要であれば撃退する力として発揮されねばならない」と発言。「国家主権と安全を守るため、海軍力の全面的な拡大・成長を一瞬も止めることはない」と、軍事力増強の継続方針を示した。
通信は、視察に同行した参加者らが「駆逐艦を通じて海軍の発展ぶりと新時代の海軍文化を実感し、党の指導のもとで海軍強化の全盛期を迎えている」と称賛したと伝えた。視察後には党中央軍事委員会主催による海軍将兵との宴会も催され、金総書記が自ら参加したとされる。
今回の「崔賢」号公開は、北朝鮮が自前の艦船製造技術を誇示し、同時に米韓の海上演習への対抗姿勢を示す意図もあるとみられる。金氏は先の演説でも、米国の戦略偵察機や原子力空母の展開を「朝鮮半島の安全を脅かす挑発」と非難しており、海軍の近代化はその対応措置の一環と位置づけられている。