北朝鮮の金正恩総書記は6日、首都・平壌に新設された「平壌総合病院」の竣工式に出席した。朝鮮中央通信が伝えた。

金正恩氏は演説で「平壌総合病院は党の宿願の結晶であり、人民愛の記念碑だ」と述べ、医療近代化を国家の最優先課題に掲げる姿勢を強調した。

この病院は、朝鮮労働党創建80周年を記念する主要事業の一つとして建設された。金正恩氏は「社会主義保健医療の象徴」と称し、建設に携わった将兵や労働者に感謝を表した。式典には党・政府・軍の高官、医療従事者、首都市民らが参加し、テープカットの後には花火が打ち上げられた。

金正恩氏は演説で、「われわれの保健医療制度は人民の生命を最も大事にする世界で最も優れた制度だが、病院施設は依然として立ち遅れている」と現状を指摘。数年来、医療近代化を構想してきたと明かし、「平壌総合病院は時代の変革を象徴する歴史的な成果だ」と述べた。

さらに、「中央病院や地方病院を同時に整備し、全国的に医療サービスと人材育成を並行させる」とする“同時並行戦略”を打ち出し、今後の医療革命を主導する拠点として同病院の役割を強調した。金正恩氏は「革命とは旧来のものを新しくする闘争であり、保健医療部門も例外ではない」と述べ、既存の管理体制や非効率的な制度の「全面的な改革」を求めた。

演説では、医療従事者に対して「人民のために尽くす真の保健医療者となれ」と呼びかける一方、現行の保健省を「名ばかりの存在」と批判。「常識も意欲も欠けた機構では一歩も進めない」として、新たな研究機関や設計機構の設立を示唆した。また、平壌に第2の総合病院を建設する計画や、各地方都市への中央病院級施設の設立方針も明らかにした。

金正恩氏は、保健医療の充実を国家安全保障と同列に位置づけ、「保健医療能力の建設は、人民の生命を守る防衛力建設でもある」と述べた。

演説の最後には、「平壌総合病院が人民の健康と笑顔を守る殿堂として末永く称えられることを願う」と結んだ。

竣工式後、参加者らは病院内を視察し、最新の医療設備や明るい院内環境に「党の恩情が隅々まで宿っている」と称賛したという。北朝鮮当局は、平壌総合病院を「社会主義文明の新たな象徴」と位置づけ、国民に向けて党の「人民第一主義」の成果を誇示している。

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