ロシア・クルスク州で地雷除去作業などを行っている北朝鮮軍に対し、「彼らのせいでロシア兵が死んでいる」との声が上がっている。死亡したと見られるロシア兵の家族がSNS上で告発し、波紋を呼んでいるのだ。

ロシアのショイグ安全保障会議書記は6月17日、プーチン大統領の指示で北朝鮮を訪問して金正恩総書記と会談。その席で、ウクライナ軍が越境攻撃したロシア西部クルスク州の地雷除去のために1000人、インフラ復興に5000人の工兵らを派遣するとの確約を得たと明らかにした。

工兵らはすでに現地に派遣され、任務に当たっていると見られる。

こうして北朝鮮の工兵らがクルスク州の現場に投入される一方、ロシア軍の工兵たちはウクライナの最前線に送られ、より危険な任務で命を失っているというのが、告発の中身だ。

これを取り上げたウクライナ・メディアの記事によると、告発者はロシア陸軍第89工兵連隊の兵士ダニアル・イリヤソフ氏の妻だ。彼女の夫とその同僚らは北朝鮮兵に交代させられて前線の突撃部隊に送られ、そこで死亡した可能性が高いという。

北朝鮮のロシア派兵の背景には、両国が結んだ包括的戦略パートナーシップ条約がある。軍事同盟としての性格を持つこの条約を根拠に、「ロシア領に攻め込んだウクライナ軍を撃退する」という名目で、北朝鮮軍は現地での戦闘に参加したのだ。しかし、ウクライナ領にまで進撃するのは気が引けるのか、現地での戦闘には加わっていないと見られる。

一方、ロシア軍は慢性的な兵員不足だ。だから北朝鮮の工兵をクルスクに呼び、自軍の工兵たちを前線に押し出したのだろう。

「北朝鮮兵たちが来たせいで、夫が犠牲になった」という告発者の心情はわかる。

しかし、彼女もよくわかってのことだろうが、夫を死地に追いやった判断はロシアの軍と政府によるものだ。また、これは未確認情報なのだが、クルスク州では危険な対人地雷の除去作業で北朝鮮軍からも死傷者が続出しているとの話もある。

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