北朝鮮の金正恩総書記(国務委員長)が8日、朝鮮労働党創立80周年に際して党創立事績館を訪れて演説し、党幹部らに対する綱紀粛正の強化を予告した。

党の事績館とはいえ、その中身は金日成と金正日、そして金正恩にいたる金氏三代の「偉業」を称える資料で満たされたものだ。

そこで行われたこの予告は、金正恩自身の権威をいっそう強化し、従わない者、逸脱する者は容赦なく罰するとの宣言でもある。

金正恩氏は演説でこう語った。

「党の指導的権威を傷付けるあらゆる要素と行為をそのつど摘発・排除するための活動を先行させながら、党内に厳格な綱紀と健全な規律気風を引き続き強化すべきです」

党の指導的権威とは、最高指導者の権威と直接かつ密接に結びついているものだ。それを傷つける行為に対する摘発・排除はこれまでも情け容赦なく行われてきた。

典型的なのが、叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長の処刑だ。張氏は「国家転覆陰謀行為」の罪名で処刑されたが、軍などを動員したクーデターを画策していたというような動向は把握されていない。故・金正日総書記の義弟という特別な地位と、本人の実力によって、彼に従う「派閥」あるいは「利権集団」が自然と発生したことが、最高指導者の権威を傷つける罪とされたのだ。

金正恩氏はまた、こうも語っている。

「わが党は、幹部の間で現れる無知無能と無責任さ、ことなかれ主義、形式主義、要領主義と共に、人民が拒否し、社会主義に被害を及ぼす専横と権柄、職権乱用をはじめ一切の弊害を一掃しながら革命の進軍を加速化するでしょう」

これを見て思い出されるのは、今年初めの出来事だ。1月27日に開かれた朝鮮労働党中央委員会第8期第30回書記局拡大会議で金正恩氏は、地方幹部が党の規律に違反し農民に不利益を与えた件について「地方の権力乱用者、官僚主義者」による「許しがたい特大型の犯罪事件」であると断罪した。

これを受け、10人余りの幹部が住民らの前で公開処刑されたという。金正恩氏による断罪が、実質的な死刑判決となった形だ。

金正恩氏による綱紀粛正の宣言は、北朝鮮の幹部たちにとって生命と直結する脅威なのである。

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