北朝鮮の平壌で10月10日夜、朝鮮労働党創立80周年を記念する閲兵式が盛大に行われた。金正恩総書記が演説し、「国家の主権と人民の安全を守るのは軍の絶対の使命だ」と強調、引き続き国防力の強化を進める姿勢を示した。

朝鮮中央通信が伝えた。

閲兵式は平壌中心部の金日成広場で開催され、党幹部や軍の高官、海外の友好国代表団が参列した。広場には陸海空軍をはじめとする各軍種部隊が整列し、新型兵器とみられる装備が次々と披露された。

行進には、新型の主力戦車「チョンマー20」型や155ミリ自走砲、新型の600ミリロケット砲に加え、極超音速滑空ミサイルや大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲-20」型なども登場。無人機や地対空・地対地ミサイル縦隊も披露され、同国の兵器開発の進展を誇示する内容となった。

金正恩氏は演説で、党の80年の歩みを「勝利と栄光の歴史」と位置付け、「わが軍は党の意志で一貫し、戦えば必ず勝つ強兵隊伍でなければならない」と述べた。軍に対し「朝鮮民主主義人民共和国の主権と人民の利益を守り抜くことが絶対の使命だ」と呼びかけ、対外的圧力に屈しない姿勢を改めて示した。

また、過去の戦争や建設の過程で「軍が犠牲を払いながら党と人民を守ってきた」と功績を強調。現在の軍を「人民のために奉仕する革命武力」と称え、「今後も社会主義建設の突破口を開く尖兵となるべきだ」と述べた。

演説ではさらに、国際社会の批判に直接言及することはなかったが、「覇権と不正義に対抗し、正義と平和を守る」と述べ、米国などとの対立構図を念頭に自衛の立場を正当化したとみられる。

閲兵式の終盤では、花火が夜空を彩り、観衆が「万歳」を連呼。金正恩氏は観客席に向かって手を振り、応じる場面も見られた。

北朝鮮メディアは、今回の式典を「党と国家の偉業を世界に誇示した歴史的行事」と位置付け、金氏の指導体制の正統性を国内外に示す意図があると伝えている。

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