北朝鮮が現在、政治犯収容所(管理所・教化所)4カ所を運営し、最大6万5000人を収容・強制労働させているとの分析が出た。10年前の推計の半数に減少したが、「人権状況が改善した結果ではなく、劣悪な環境下での大量死と一部施設の閉鎖が要因」との指摘もある。
こうした内容は韓国・統一研究院が15日に公表した報告書「北朝鮮の政治犯収容施設:2013年版改訂報告」で示された。
報告書によると、北朝鮮は現在、平安南道・价川(ケチョン)の第14号および第18号管理所、咸鏡北道・永安(ヨンアン)の第16号管理所、清津(チョンジン)の第25号政治犯教化所の計4カ所を運営している。収容人数は5万3000~6万5000人と推定され、2013年の推定(8万~12万人)から半減した。
同報告は米民間衛星企業マクサー(Maxar)の最新衛星画像や脱北者の証言を追加分析した改訂版である。研究チームは「減少は北朝鮮の政策転換ではなく、15号管理所(咸鏡南道・耀徳=ヨドク)の閉鎖や過酷な労働環境での死亡が影響した」と分析した。耀徳収容所は2019年、国際社会の人権圧力を回避する名目で閉鎖されたとみられている。
国家保衛省が价川14号・永安16号・清津25号を、社会安全省が价川18号をそれぞれ管轄している。14号管理所は1965年に設立され、2013年の張成沢(チャン・ソンテク)粛清事件の関係者が移送され規模が拡大した。16号管理所は豊渓里核実験場から約3kmに位置し、核関連施設での強制労働が行われた可能性もあるという。
収容理由は「最高指導者への不敬」「党の唯一的指導体制10大原則違反」「宗教活動」「反国家犯罪」などで、統一研究院は「管理所体制は『成分制度(身分階層)』と国家監視システムが結合した恐怖政治の装置として機能している」と指摘した。
報告書は、韓国政府に対し「国連など国際社会と連携し、具体的な勧告と圧力を通じて北朝鮮の実質的態度変化を促すべきだ」と提言している。
北朝鮮は長年、政治犯収容所の存在を「脱北者の捏造」と主張してきた。
政治犯収容所の存在は北朝鮮が国際社会からの非難を招く大きな要因のひとつであり、金正恩政権にとっても重荷かもしれない。一部施設の閉鎖が、その可能性を示唆している。しかし、権力維持を恐怖政治に頼るかぎり、全廃は考えることすらできないのではないだろうか。








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