「戦闘機を開発しながら、なぜ空対空ミサイルは一緒に開発しなかったのか」。李在明(イ・ジェミョン)大統領が18日、国防部などの業務報告の場で投げかけたこの一言が、韓国防衛産業の核心的な弱点を浮き彫りにした。

大統領が特定の武器体系を名指しで問題視するのは極めて異例だ。

国産次世代戦闘機KF-21は計画通り初期量産段階に入っているが、肝心の空対空ミサイルは未だ実用化に至っていない。現状では、欧州製の短距離ミサイル「IRIS-T」と長距離ミサイル「ミーティア」を搭載し、国産ミサイルは将来的に置き換える構想だ。しかし、この「暫定輸入+将来国産化」という従来型の装備調達が、急変する戦場環境や東アジア情勢に対応できるのか、疑問の声が強まっている。

空対空ミサイル問題は、FA-50軽攻撃機の輸出やKF-21の武装構成とも密接に関係する。ポーランドでは昨年、FA-50導入を巡り「搭載兵器が契約に含まれていない」との批判が噴出した。FA-50は米国製ミサイルを使用する設計で、ミサイルは導入国が別途調達するのが慣例だが、韓国が提供できるミサイルのないことが政治的批判の材料となった。

一方、KF-21は欧州製ミサイルを最低限確保し、ゆくゆくは国産で賄う計画だ。大統領の発言は、この構造そのものへの疑問と受け止められている。国防科学研究所の幹部は韓国メディアの取材に「技術的リスクを理由に当時は積極的に進められなかった」と話している。

空対空ミサイルは、超音速かつ高機動の航空機を相手にし、電子戦を突破する極めて開発難度の高い兵器だ。さらに、航空機に搭載されたレーダーや射撃管制との統合試験にも長い時間がかかる。

開発に手間取れば、せっかく完成した戦闘機の寿命が尽きてしまいかねない。

現在、短距離・中長距離の国産空対空ミサイル開発が進むが、順調に行っても、量産は2030年代半ば以降となる見通しだ。それまでの戦力空白を埋めるための「つなぎ」として、ミーティアなど欧州製ミサイルを十分に確保する必要があるとの指摘が出ている。しかし、予算制約を理由に調達は最小限にとどまっている。

北朝鮮は最近、性能は未知数ながら、長距離空対地ミサイルを公開した。中国は2030年までに第5世代戦闘機J-20を約1000機保有する計画だ。韓国空軍にとっては、高性能な空対空ミサイルがいくらあっても十分とは言えないほどなのだ。

戦闘機だけを先に完成させ、武装を後回しにしたツケが、いま韓国空軍の現実的な課題として突きつけられている。

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