北朝鮮は30日、南浦市龍岡郡で病院と地方工業工場の竣工式を盛大に行った。朝鮮中央通信が伝えた。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記が出席し、地方振興を掲げる「地方発展20×10政策」の成果を強調した。

同通信によると、今回の竣工は、全国の市・郡を均衡的に発展させるとする同政策の2年目の成果で、今年は各地で病院や軽工業工場、総合奉仕施設などが相次いで完成したという。龍岡郡の竣工式は、2025年度の地方建設事業の「締めくくり」と位置付けられた。

式典には党・政府・軍の幹部らが出席し、金総書記は「人民に最も幸福な生活を提供することを歴史的課題として担う党の指導が結実したものだ」と強調。地方発展政策は「人民大衆第一主義」に基づくものであり、社会主義建設を力強く前進させていると自賛した。

また、演説では、建設を担当した人民軍部隊の功績を称えたほか、来年にはさらに多くの市・郡で病院や工場、総合サービス施設を同時に建設する方針を示した。質・量の両面で地方建設を拡大し、「人民生活の向上を実感させる段階に入る」と強調した。

金総書記は式典後、完成した病院を視察し、医療従事者に対し「人民の生命と健康を第一に考え、高水準の医療サービスを提供する責務を果たすよう」求めたという。さらに、地方建設に携わった軍部隊に対し、党への忠誠と献身を高く評価した。

朝鮮中央通信は、今回の竣工が「地方発展政策の正当性と生命力を現実で証明した歴史的成果」だと強調し、2025年が同政策の成功を示す年として記録されると主張した。

北朝鮮は近年、経済制裁や慢性的な物資不足が続く中でも、地方建設を通じて体制の求心力維持を図っている。今回の大規模な宣伝も、金正恩体制下での成果を内外に誇示する狙いがあるとみられる。

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