北朝鮮の金正恩体制が、後継構想を一段と露骨に示した。1月1日の錦繡山(クムスサン)太陽宮殿参拝で、金正恩総書記は娘・金ジュエ氏を中央に立たせ、自身と妻の李雪主氏を左右に配した。
金正恩氏が娘を公式行事の「センター」に据える構図は今後、珍しくなくなっていくかもしれない。
実際に軍関連施設の視察、式典、記念撮影――そのたびにジュエ氏は象徴的な位置を与えられてきた。体制側が「白頭の血統」の正統な継承者として、彼女を意識的に可視化しているのは明らかだ。これは偶発的な演出ではなく、金正恩氏自身が主導する長期的な権力継承プロジェクトと見るべきだろう。
だが、ここに一つの不安定要素がある。
ジュエ氏が成長し、権威と権力に対する強烈な「自我」に目覚めたとき、事態はどう転ぶのか。現在は「偏愛」にも映る父娘関係が、永続する保証はない。絶対的権力が集中する体制において、血縁は忠誠を約束する一方、最も苛烈な対立を生む種にもなり得る。
その最も分かりやすい前例が、ほかならぬ金正恩氏自身だ。彼は祖父・金日成主席、父・金正日総書記という巨大な権威の継承者として登場した。
蛙の子は蛙である。もしジュエ氏が将来、「センターは自分だ」という自意識を強く持つようになれば、父が歩んだ道をなぞる可能性は否定できない。そのとき、父娘の関係は「継承」という美名のもとに保たれるのか、それとも権威の主導権を巡る緊張関係へと変質するのか。錦繡山で示された華やかな構図の裏には、金王朝がいずれ直面するであろう、避けがたい権力の力学が静かに潜んでいる。








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