北朝鮮が韓国からの無人機侵入に激しく反発している。金正恩総書記が示す過剰とも映る警戒心の背景には、単なる主権侵害への抗議を超えた、より切迫した恐怖がある。
近年、ベネズエラやイランでは、体制中枢を狙うピンポイント攻撃や無人機による威嚇が現実のものとなった。指導者本人や側近を標的とする、いわゆる「斬首作戦」はもはや机上の空論ではない。金正恩氏としても、平壌上空に侵入する無人機を看過すれば、自らの生存を脅かす前例を許すことになる。
もっとも、核武装した北朝鮮に対し、米軍が正面から斬首作戦を仕掛ける可能性は高くない。韓国もまた、左派政権の下で全面的な軍事冒険を選ぶとは考えにくい。理屈の上では、金正恩体制は核抑止力に守られている。
しかし、問題は金正恩氏自身が、その「核の傘」を相対化しかねない行動を取っている点にある。ロシアへの派兵を通じ、北朝鮮はウクライナ戦争の事実上の当事者となった。ウクライナ軍は、無人機を駆使してロシア領内深くまで攻撃を加え、補給拠点や司令部を次々と破壊してきた。核大国ロシアでさえ、ドローン戦争の前では完全な安全を確保できていない。
この現実は、金正恩氏にとって不気味な鏡像だ。核に守られているからといって、指導者個人の身の安全まで保証されるわけではない。








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