中東・中南米で相次いだ政変や政情不安は、地理的には遠くとも、北朝鮮にとっては決して他人事ではない。2024年にシリアのアサド政権が崩壊し、2025年に入ってベネズエラのマドゥロ大統領が米国当局に拘束、さらにイランでは反体制デモが再び燃え上がった。

いずれも長年、反米・反西側という共通の軸で北朝鮮と友好関係を築いてきた政権・国家である。

これらの出来事が示すのは、「反米で結束する権威主義の連帯」がいかに脆弱かという現実だ。軍や治安機関、資源輸出に依存した統治モデルは、国際制裁や経済停滞、世代交代の圧力の前で急速に劣化する。北朝鮮は、シリアには武器技術、イランにはミサイル関連のノウハウ、ベネズエラとは象徴的な政治連帯を通じて、国際社会の包囲網を相対化してきた。しかし、その「仲間」たちが相次いで動揺・転落する中で、平壌の選択肢は狭まる一方だ。

金正恩体制はロシアとの軍事協力を梃子に延命を図るが、ウクライナ戦争への関与は新たな制裁と国際的孤立を深める副作用を伴う。国内では大衆の市場への依存が進む一方で、思想統制と恐怖政治を強化せざるを得ず、体制の硬直化はむしろ進んでいる。外に「仲間」が減り、内に不満が蓄積する構図は、過去に倒れた多くの独裁体制が辿った道でもある。

世界は変わりつつある。金正恩政権が核とミサイルにしがみつき、反米の幻想的連帯に活路を求め続ける限り、北朝鮮は安全ではなく、より不安定な孤島へと追い込まれていくだろう。孤立の深まりは、静かだが確実に体制の足元を侵食している。

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