韓国の独立系メディア「サンドタイムズ」は、北朝鮮の主要行事の現場で、金正恩国務委員長が娘の金ジュエ氏の立ち位置や振る舞いを細かく“演出”する場面が、国営メディアを通じて繰り返し確認されていると報じた。行事への同席そのものだけでなく、会場内の動線や所作までもが、金正恩氏の意図に沿って厳密に管理されている可能性が高いという。

朝鮮中央テレビが公開した新年慶祝行事の入場映像では、金正恩氏とジュエ氏が党幹部やその家族の出迎えを受けた。金正恩氏が幹部とあいさつを交わす間、金ジュエ氏は李雪主夫人とともに、幹部の孫とみられる男児と談笑していた。ところが会話が続いた直後、金正恩氏が娘を軽くつつき、腕を取って別の幹部の子どもの方へ移動させる様子が、そのままカメラに映し出された。視界から外れ、予期せぬ行動を取ることを即座に制止したとみられる。

同様の場面は、2024年10月の朝鮮労働党創建79周年記念宴会でも確認された。金正恩氏が駐朝ロシア大使とあいさつを終えた後、立ち止まった娘に背中から合図を送り、次の動作を促したとされる。専門家は、行動を忘れて“ボーっとする”娘に、父親自らが「次の演技」を指示した瞬間だったと分析する。

専門家の間では、これを金正恩氏特有の「映像政治」の典型例とみる見方が強い。娘に視線を集めることで「慈愛に満ちた父」「家庭的指導者」というイメージを演出し、核開発や人権問題といった否定的印象を和らげる狙いがあるとされる。北朝鮮が“劇場国家”と呼ばれてきた中で、金正恩氏は王朝一家そのものを宣伝装置として前面に押し出している、という指摘も出ている。

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