北朝鮮当局が金正恩総書記の誕生日(1月8日)に合わせ、全国の小学校児童に「元帥様の贈り物」として菓子類を配給したが、品質があまりに低く住民の不満が広がっている。自由アジア放送(RFA)が1月29日、複数の住民証言として伝えた。

体制が象徴的に重視してきた「贈り物政治」が、経済難の中で逆効果を生みつつある。

平安南道の住民はRFAに対し、今年の児童向け菓子は新年を控えた昨年12月31日に供給され、当局は「1月8日の誕生日記念の贈り物」と説明した。しかし実際には味や形が粗末で、子どもたちが口にするのをためらうほどだったという。

住民の一人は「贈り物の菓子があまりに劣悪で、かえって元帥の権威を損なう」として中央党(朝鮮労働党中央委員会)に通報したとされる。これを受け、当局は全国の「贈り物準備委員会」に中央検閲団を派遣し調査に着手したという。背景には住民の間で「配給すらまともにできないのに贈り物とは」との批判が拡散したことがあるとみられる。

北朝鮮では指導者が人民に恩恵を与える形を演出するため、誕生日や記念日に食品や生活物資を配る慣行が続いてきた。特に子どもへの菓子配給は体制の「慈愛」を示す象徴とされる。

しかし国際制裁の長期化や貿易縮小、慢性的な物資不足で国家の供給力は低下しており、住民生活は市場依存を強めている。証言では今回の菓子は市場で家庭製造される菓子よりも質が低く、小麦粉だけで焼いた味気ない菓子や、形も整えず固めただけの砂糖菓子だったという。

一方で住民の不満は検閲団派遣そのものにも向けられている。

当局が原材料を十分確保できないまま低品質の配給を行い、問題が表面化すると現場幹部の責任に転嫁して処理しようとしているとの見方が出ている。

別の咸鏡北道の住民も、今回の通報は単なる一部幹部の失策ではなく、国家経済の崩壊と体制運営の矛盾に起因する構造的問題だとの指摘が住民の間で語られているとRFAに述べた。体制の権威を支えるはずの「贈り物」が、経済難の現実を浮き彫りにしている。

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