北朝鮮当局が、ロシア・ウクライナ戦争に派兵され負傷して帰還した兵士らを「栄誉軍人」として位置づけ、未婚女性に結婚を促しているとの情報が伝えられた。米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が2月3日付で報じた。

報道によると、北朝鮮は2024年4月ごろにロシア支援のため兵力を派遣したとされるが、公式に認めたのは約1年後の2025年4月で、派兵規模は約2万人に上るとみられている。

咸鏡北道慶源郡の住民情報筋は1日、「最近、幹部の口から女性に対し栄誉軍人に嫁ぐよう求める発言が出ている」と述べ、ロシア派兵で負傷し除隊した兵士を念頭に置いた動きだと指摘した。

情報筋によれば、1月中旬に行われた青年同盟の集まりで、同盟委員長が「海外軍事作戦に参加し勇敢に戦った軍人たち」に言及し、「郡内の未婚女性同盟員の中から彼らに嫁ぐ行いが出てほしい」と語ったという。

さらに委員長は、1990年代に隣接する会寧で「4人の娘が同時に栄誉軍人に嫁いだ」事例を挙げ、「工場の青年同盟組織が思想教育をよく行った結果だった。我々も思想教育を徹底すれば可能だ」と強調したとされる。

北朝鮮で「栄誉軍人」とは、軍務中の事故などで障害を負い除隊した兵士を指し、障害の程度に応じて特類から3類まで等級が分けられる。等級により一定の経済的優遇措置があるとされ、もっとも手厚いケースでは一生の間、食糧と生活必需品が配給されていた。しかし経済情勢の悪化で、そうした優遇措置も有名無実となったとの情報もある。

ただ、金正恩政権はロシアとの「蜜月」を最大の外交成果として掲げ、国民にも順応を強いているだけに、当面はロシアに派兵された栄誉軍人たちへの優遇措置は維持されるかもしれない。

情報筋は「当局は過去、社会全体で栄誉軍人を優遇する雰囲気づくりに力を入れ、腕や脚を失った特類栄誉軍人に女性をあてがうことにも熱心だった」と語った。実際の事例を映画化したこともあったという。

一方で情報筋は、「当時、特類栄誉軍人に嫁ぐ女性は少なくなかったが、現在まで夫婦生活を続けている例はほとんどない」と述べ、今回の動きに対しても住民の間で複雑な受け止めが広がっていることを示唆した。

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