中国との国境に接する北朝鮮・新義州に国内最大規模の温室総合農場が建設され、金正恩総書記がここを頻繁に視察していることで、中国携帯電話の利用者が大きな打撃を受けているとの指摘が出ている。度重なる最高指導者関連行事(1号行事)に伴い警備と電波監視が一段と強化され、中国携帯電話を使う住民が姿を消したという。

平安北道のデイリーNK内部情報筋は26日、「1号行事が相次ぎ、従来とは次元の異なる高強度の通信監視体制が常時稼働している。ある時期から中国携帯を使っていた人々が一人また一人と見えなくなり、今では完全に姿を消した」と語った。

遼寧省丹東と接する新義州は北中貿易の拠点で、中国携帯を利用して外部と連絡を取りながら密貿易や送金などで生計を立てる住民が多く存在してきた。閉鎖社会における情報流通の媒介ともなってきたが、頻繁な1号行事により活動は事実上全面停止に追い込まれたという。

情報筋は「1号行事の前後に監視と取り締まりが頻繁に行われ、中国携帯利用者が次々と調査対象になった。過去10年で捕まった人数より、最近1年で捕まった人数の方が多いという話が出るほどだ」と伝えた。

北朝鮮当局は過去にも、凄惨な取り締まりを行っている咸鏡北道の情報筋によれば、2021年には年末の3カ月間だけで18人もの男女が処刑されたという。いずれも中国キャリアの携帯電話を使っていた人々で、外国に秘密情報を売り渡し、韓流コンテンツを輸入したという容疑かけられた。

この18人の刑執行は公開でなく、安全部施設内の密室で行われた。

北朝鮮の安全部に連行された経験のある人物によれば、留置所や取調室に入れられること自体がとてつもない恐怖だという。ほかの国の警察署と同様に、留置所や取調室に窓はない。特徴的なのは、照明が暗くて取調官の顔すらよく見えないことだ。

そうなると、誰が、何を自分に対してしようとしているのか、相手の表情からうかがうことがまったくできない。

人間はそんな状況に置かれたとき、嫌な想像を膨らませ、恐怖を倍加させるのかもしれない。

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