北朝鮮の重要拠点、竜城(リョンソン)機械連合企業所の現代化事業を巡り、現場幹部らが数年間にわたり金正恩(キム・ジョンウン)総書記を組織的に欺いていた疑いが強まっている。韓国の衛星画像分析企業「SIアナリティクス」が11日に公開した最新のAI分析報告書により、衛星が捉えた実態と北朝鮮当局の発表に、組織的な隠蔽なしには説明がつかないほどの「空白」が判明した。

北朝鮮は2021年から同工場の現代化を国家プロジェクトとして推進してきたが、AIによる時系列分析では、2021年から2024年前半まで、工場敷地内での主要な建築動態や資材搬入はほぼ皆無であった。しかし、この期間も北朝鮮の官営メディアは「事業の進展」を断続的に報じ、金正恩氏へも成功の報告が届いていたとされる。

報告書は、2024年後半になって突如として建設が急加速した点に着目。これは、金正恩氏の現地指導が近づいたことで、数年間の放置や遅延を隠蔽するため、現場が「突貫工事」で体裁のみを整えた可能性を強く示唆している。

この組織的な欺瞞は、最終的に金正恩氏本人の目によって暴かれた。先月の視察時、金氏は「党を愚弄しようとしている」と幹部らを厳しく指弾。その場で機械工業担当の内閣副首相(梁勝虎氏)を解任するという、異例の事態に発展した。

脱北した元政府関係者は「北朝鮮の過酷な目標管理下では、保身のために虚偽の進捗報告を上げ続けることは珍しくないが、衛星で容易に露呈するレベルの現代化偽装は前代未聞だ」と指摘する。

今回の事案は、独裁者が現場の「忠誠という名の偽装」によって、国家の重要産業の実態を正確に把握できていない脆弱性を露呈させた。SIアナリティクスが提供するnK Insightのような高度なAI解析は、もはや軍事動静だけでなく、北朝鮮体制内のガバナンス崩壊や、官僚機構の深刻な腐敗をも可視化する段階に入っている。

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