イランの最高指導者であるアリ・ハメネイ師は米国との核協議の最中、「米軍艦艇はペルシャ湾で撃沈され得る」と発言して米空母打撃群の中東展開を威嚇した。その関連で注目されるのが、イラン海軍および革命防衛隊が運用する「小型潜水艦」戦力の実態だ。

ハメネイ師は17日の演説で、「軍艦は危険な兵器だが、それを海の底に沈める兵器のほうが、さらに危険だ」と述べ、米軍艦艇がペルシャ湾で攻撃を受け得るとの認識を示した。具体的な兵器名には言及しなかったものの、イラン軍高官や国営メディアは以前から、小型潜水艦や機雷、対艦ミサイル、無人艇などを組み合わせた非対称戦力こそが、米空母打撃群の「弱点」だと繰り返し強調してきた。

その中核を担うとされるのが、排水量100トン余りの超小型潜水艦「カディール級」だ。

同級は水深の浅い沿岸海域での待ち伏せ攻撃を想定した設計で、狭隘なペルシャ湾では発見が困難とされる。魚雷発射管2門を搭載し、複数隻による飽和攻撃や機雷敷設と組み合わせることで、米艦隊に打撃を与え得るとの主張が、革命防衛隊内部で根強い。

興味深いのは、このカディール級が、北朝鮮の小型潜水艦技術の影響を強く受けている点だ。米国や韓国の軍事専門家の間では、北朝鮮の「ユーゴ級」や「ヨノ級」と呼ばれる沿岸用潜水艦を原型に、イランが独自改良を施したとの見方が定着している。両国は弾道ミサイルやロケット技術にとどまらず、潜水艦分野でも長年にわたり協力関係を築いてきたとされる。

革命防衛隊海軍は、こうした小型潜水艦に水中ドローンや対艦巡航ミサイルを組み合わせ、「群狼戦術」と呼ばれる飽和攻撃を想定している。大型で高価な米空母に対し、安価で多数運用できる兵器を集中投入することで、作戦遂行能力を奪う狙いだ。ただ、米海軍は原子力潜水艦、イージス艦、対潜哨戒機、ヘリコプターによる多層防御体制を構築しており、専門家の多くは「単独、あるいは少数の小型潜水艦で空母を撃沈するのは極めて困難」と指摘している。

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