19日に開幕した北朝鮮の第9回朝鮮労働党大会は、執行部メンバーの約6割が交代する大幅な世代刷新の場となった。高齢の元老級を外し、40~50代を中心とした実務型の幹部を前面に押し出す構成は、金正恩総書記が中長期の政権運営を見据えた布陣を整えつつあることを示している。

こうした流れは、後継問題とも無縁ではない。

注目された金正恩の娘・ジュエ氏は、今回の大会では姿を見せず、執行部名簿にも名前はなかった。韓国国家情報院は、彼女がすでに「後継者内定および後継教育」の段階に入ったとの見方を示しているが、現時点で公式の肩書を与えるには年齢が若すぎる。13歳という年齢を考えれば、党大会という最高政治舞台に立たせるのは時期尚早との判断が働いたとみられる。

むしろ今回の世代交代は、5年後を見据えた準備段階と考えるべきだろう。党大会は原則5年ごとに開催されるため、次回は2031年前後になる。ジュエ氏はその頃、10代後半となり、北朝鮮の政治文化において「指導者の後継」として表に出る最低限の年齢に達する。

過去を振り返れば、金正恩自身も20代後半から30代初頭にかけて後継者として公の場に登場し始めた。体制の安定を最優先する北朝鮮にとって、幼少の後継者を前面に出すことは、権力闘争や不安定化を招きかねないリスクを伴う。

また、今回の執行部刷新は、対韓国政策の比重低下と外交重視への転換を強く印象付けた。こうした戦略的再編の中で、後継者問題は極めて繊細なテーマであり、拙速な演出は避けたいのが本音だろう。まずは体制の中核を若返らせ、忠誠心の高い幹部層で足場を固めた上で、次の段階としてジュエ氏を「公式デビュー」させる。

その舞台として最も象徴的なのが、5年後の党大会なのである。

ジュエ氏が公式の肩書を持ち、国家的行事の前面に登場するのは、彼女が10代後半となる次回大会から――。今回の静かな不在は、金正恩が描く長期的な権力継承シナリオの存在を、かえって浮き彫りにしていると言えるだろう。

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