北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は25日付2面で、金正恩総書記の再推戴を受け、「国中の人民が尽きぬ感激と歓喜に包まれている」とする大型の政治評論を掲載した。論評は金正恩氏を「奇跡の時代を切り開く天下第一の偉人」と称え、軍事力強化、建設ラッシュ、地方振興をすべて個人の功績として列挙。
論評は過去5年を「他国が数百年かけても成し得ない巨大な成果を達成した時代」と位置づけ、新義州の温室農場建設や昨年の洪水対応を「三つの奇跡」と誇示した。さらに「人民大衆第一主義」という金正恩独自の政治理念を持ち上げ、「人民への愛によって奇跡を生み出す指導者」として絶対視する表現が目立つ。23日に発表された総書記再推戴の提議文でも、「五千年の歴史にかつてなかった勝利」と強調され、独自の偉業を際立たせる演出が徹底されている。
注目されるのは、こうした自己神格化の強化が、後継問題と無縁ではない点だ。金正恩氏は近年、公式行事で父・金正日氏や祖父・金日成主席への言及や顕彰の比重を意図的に下げ、肖像掲示やスローガンの扱いにも変化を加えてきた。一方で、自身の娘・金主愛(ジュエ)氏を軍関連行事や公式写真に頻繁に登場させ、事実上の後継候補として演出している。四代世襲を射程に収める中で、権威の源泉を「先代の遺産」から「自らの業績」へと移し替える狙いが透ける。
その象徴が、これまで公式祝日とされてこなかった自身の誕生日の扱いだ。
金日成、金正日の誕生日が国家的祝日として盛大に祝われるのに対し、金正恩氏は長らく「個人崇拝の抑制」を理由に、祝賀行事の制度化を避けてきた。しかし最近は、誕生日に合わせた記念行事や称揚記事が増え、自己偶像化への“ブレーキ”が外れつつあるとの見方が強まっている。
強権統治と経済失速、国際的孤立が深まる中、金正恩体制は統治の正当性を誇張された個人崇拝に依存せざるを得なくなっている。








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