ドイツで徴兵制(兵役)再導入を巡る議論が再燃している。昨年12月5日に徴兵制を可能とする新たな兵役法案が可決。
背景にはロシアの軍事的脅威の高まりだけでなく、防衛予算の中で人件費が過度に膨張し、装備近代化や弾薬備蓄を圧迫しているという深刻な財政構造問題がある。そんな欧州各国で表れているのが「韓国型徴兵モデル」への移行だ。日本にとっても決して他人事ではない。
ドイツでは冷戦終結後の2011年、徴兵制を停止し、完全志願制へ移行した。しかし、現在のドイツ連邦軍は深刻な人員不足と高コスト体質に直面している。防衛費の約半分が給与や社会保障費などの人件費に消え、戦車や防空システム、砲弾といった装備更新に十分な予算を回せない状況が続く。
ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツは防衛費を国内総生産(GDP)比2%超に引き上げたが、その増額分の多くが人件費や維持費に吸収され、戦力の質的向上には結びついていない。北大西洋条約機構(NATO)内では、「高コスト・小規模軍」モデルでは長期消耗戦に耐えられないとの危機感が広がっている。
こうした中、欧州諸国が研究対象としているのが、徴兵制を基盤に巨大な即応戦力と予備役を維持する韓国軍モデルだ。韓国では約50万人の現役兵力と300万人超の予備役を、比較的低い人件費で運用している。
結果として、韓国は世界最大級の砲兵戦力と高密度の防空網、急速に拡充する無人機戦力を併せ持つ「高持続性軍事モデル」を構築した。ポーランドやバルト三国、北欧諸国が、徴兵制復活と同時に韓国製兵器を大量導入しているのは象徴的だ。
ドイツ国防省内では、「志願制のまま兵力拡大と即応態勢を両立させるには、予算的に限界がある」との認識が共有されつつある。徴兵制導入は、単なる兵力確保策ではなく、防衛財政の構造改革という側面を持つ。
この構図は、日本にも当てはまる。自衛隊は志願制の下で人件費比率が約4割に達し、弾薬備蓄不足や装備更新の遅れが慢性化している。台湾有事や朝鮮半島情勢の緊迫化が現実味を帯びる中、「防衛費を増やしても戦力が増えない」というジレンマは深刻だ。防衛費増額の議論と並行して、人件費構造、動員制度、予備役体制を含む防衛モデルそのものの再設計が問われる局面に入っている。








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