北朝鮮外務省が1日、米国とイスラエルによる対イラン軍事攻撃を「不法な侵略行為」と厳しく非難する談話を発表した。激しい言葉で米国の覇権主義を糾弾した一方、ドナルド・トランプ大統領の名指し批判を避けた点に、米朝関係の緊張を避けたいとの思惑がにじんでいる。

金正恩総書記は2月下旬に閉幕した朝鮮労働党第9回大会で、「米国が敵視政策を撤回するなら、関係改善の余地がある」と述べ、条件付きながら対話の可能性を公式に示唆した。対米姿勢の基本線は強硬ながらも、全面対決を回避し、交渉カードを温存する姿勢を打ち出した形だ。

今回の外務省談話は、米国とイスラエルを「ならず者国家」とまで断じ、軍事行動を強く非難している。しかし、トランプ氏の個人名には一切触れていない。北朝鮮は過去、米国の大統領を名指しで「狂人」「老いぼれ」などと激しく攻撃してきた経緯があり、今回の抑制的な表現は異例といえる。

専門家の間では、「対話の窓を完全に閉ざさないため、あえてトランプ批判を控えた可能性が高い」(韓国政府関係者)との見方が強い。米国がイランに対し強硬姿勢を強める中、北朝鮮としては、次に圧力の矛先が自国に向かう事態を警戒しつつ、交渉の余地を残すことで戦略的柔軟性を確保したい思惑があるとみられる。

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