米国とイスラエルによるイラン攻撃で最高指導者が死亡したとのニュースは、北朝鮮国内にも密かに波紋を広げている。中国との国境地域では、この話題が瞬く間に広まり、住民の間でさまざまな憶測が飛び交っているという。
北朝鮮当局はイラン攻撃を強く非難する談話を国内メディアに掲載したものの、指導者の死亡に関する情報には触れていない。しかし、中国の携帯電話などを通じて外部情報に接する住民の間では断片的ながら事実が共有され、「核を持つ国でも攻撃されるのか」「我々の国は大丈夫なのか」といった不安がささやかれていると伝えられる。
だが、このニュースが呼び起こした感情は恐怖だけではない。長年にわたる政治的抑圧と生活苦の中で、北朝鮮の人々は体制への不満を抱えながらも、それを公然と語ることができない社会に置かれてきた。公開処刑や政治犯収容所の存在が知られるこの国では、体制批判は命に直結するからだ。
それでも、極めて親しい間柄では本音が漏れることがある。実際、2017年に米朝関係が極度に緊張した際には、地方住民から「米国が(金正恩氏らのいる)平壌を爆撃してくれたらいいのに」という声まで聞かれたとされる。体制の内部から変化を起こすことが不可能に近いと感じている人々にとって、外部からの衝撃こそが現状を変える唯一の手段に映るのだ。
今回のイラン情勢もまた、そうした思いを呼び起こした可能性がある。核兵器を“体制の盾”として誇示してきた北朝鮮だが、核問題を抱える国家が実際に軍事攻撃を受けたという事実は、住民に強い印象を残したはずだ。
もちろん、北朝鮮国内でこうした感情が公然と語られることはない。国家の監視は依然として厳しく、体制批判は厳罰の対象となる。
外部から見れば、北朝鮮は強固な独裁体制を維持しているように見える。しかし、その内側で人々が何を思っているのかは、必ずしも表に現れる姿と同じではない。イランのニュースをめぐるささやきは、その“見えない本音”の存在を改めて浮かび上がらせている。








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