米軍の最新鋭ステルス戦闘機「F-35」がイラン上空で作戦遂行中に被弾し、緊急着陸する事案が発生した。米中央軍(CENTCOM)は機体の損傷と安全な着陸を認める一方、イラン側は「新型防空システムによる撃墜」を主張。

双方の発表が食い違う中、ネット上では不自然な「フェイク画像」が拡散されるなど、激しい情報戦(認知戦)の様相を呈している。

米CNNは19日(現地時間)、複数の消息筋の言葉として、該当のF-35がイラン側の攻撃と推定される砲撃を受けた後、中東内の米軍基地に着陸したと報じた。
これに対し、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は声明で「今日午前2時50分ごろ、IRGC航空宇宙軍の新型先端防空システムが領空を侵犯したF-35を撃墜した」と発表した。

こうした発信と並行して、インターネット上では胴体着陸し、滑走路上に横たわるF-35の画像などが拡散している。しかし、こうした画像には致命的な違和感がある。手前に立つ救難員や整備兵に対し、F-35の機体が驚くほど小ぶりに描かれている。本来、F-35は全長約15.7メートル、全幅約11メートルに及ぶ巨大な兵器だ。機体を囲むクルーの身体が、機体全体に対してこれほど大きく見えることは、物理的なレンズの圧縮効果を考慮してもあり得ない。

こうした画像は過去の事故事真をベースに、生成AIなどで加工されたフェイクである可能性が極めて高い。イラン側が「損傷させた」と主張するタイミングに合わせ、こうした「無敵のステルス機が破壊された」という強烈な視覚的インパクトを持つ画像を流布することで、事実関係の真偽を超えて、世界に「米軍の敗北」という印象を植え付ける狙いがあるとみられる。

今回の事案は、物理的な攻撃(地対空ミサイルや砲撃)と、デジタルな攻撃(AI生成画像による世論操作)が完全に同期した、現代の「認知戦」の典型例と言える。

米軍が詳細な調査結果を出すまでの「空白の時間」に、衝撃的な画像を伴う言説を浸透させる。

たとえ画像が偽物だと見抜かれても、「F-35が被弾した」というニュースのインパクトを増幅させる効果は絶大だ。

最先端のステルス性能を誇るF-35といえども、SNSという「戦場」で繰り広げられる、真実を巧妙に混ぜ込んだデジタル兵器の追撃を振り切るのは容易ではない。

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