ロシアが、米政府による経済制裁や事実上の海上封鎖を突破するため、海軍艦艇による商船の直接護衛という強硬手段に踏み切った。英海軍などの監視網を潜り抜け、ロシアの原油タンカーが海軍艦艇を伴いキューバへ向けて航行していることが20日(現地時間)までに分かった。

カリブ海近海では米海軍艦艇も展開しており、冷戦期の「キューバ危機」を彷彿(ほうふつ)とさせる緊張状態に陥っている。

関係筋や米南方軍(SOUTHCOM)の証言によると、ロシア船籍の大型タンカー「アナトリー・コロドキン」が今月中旬、ロシア海軍の駆逐艦および補給艦の護衛を受けながらイギリス海峡を通過した。米ブルームバーグ通信は、同タンカーが約73万バレルの原油を積載しており、深刻な燃料不足にあえぐ同盟国キューバへの供給が目的であると報じた。

米トランプ政権は今月19日、キューバ向けロシア産原油の取引を制限する新規則を導入し、事実上の「海上封鎖」を強化した。これに対しロシア大統領補佐官は18日、「商船に対する破壊工作などのリスクに対抗するため、海軍による護衛を本格化させる」と明言。エネルギー供給を盾に、米国の制裁網を力ずくで無効化する構えだ。

カリブ海周辺では、米海軍の駆逐艦がロシア艦隊の動向を24時間態勢で追跡している。1962年、ソ連のミサイル基地建設を巡り核戦争寸前まで対立した「キューバ危機」から60余年。当時、ソ連船団を米海軍が公海上で阻止した歴史的経緯があるだけに、今回の「原油輸送」を巡る洋上の対峙(たいじ)は、不測の事態を招きかねない極めて危うい局面を迎えている。

ロシア艦隊は週明けの23日にもキューバ近海に到達する見通しで、米ロ両軍の直接的な接触を懸念する声が国際社会で強まっている。

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