浮気な恋は若者がするもの……などと考えている人は、今日び、すでにいないだろう。中高年の不倫は珍しい話ではなく、むしろ子育てが一段落し、時間ができた時期が危ないとも言われる。

つい先日も、元アイドルの女性が20歳近く年の離れた大学生と「駆け落ち」をしたことが大きな話題となった。40~50代から始まる母親の不倫について、経験者のエピソードを集めた。(取材・文/フリーライター 藤井弘美)

Twitterに始まった大騒動
学生と人妻の駆け落ち

 先日ツイッター上で、「母を探している」旨のツイートが世間に大きく広まった。ツイートをしたのはその母の息子や娘で、その内容には話題になる要素がいくつもあった。

「母」が元アイドルであること、41歳の母が21歳の大学生と駆け落ちをしたこと、駆け落ちの際に家族の口座から学費のために用意してあった200万円を引き出していたことなどである。この騒動は大きな反響を呼び、「戻ってきてほしい」という夫の声がテレビ番組内で紹介されるに至った。

 もちろん、父と子どもたちへの同情、母と駆け落ち相手への批判の声もあがったものの、一方で駆け落ちした母を「やむなし」としてかばう声も上がった。理由はいくつかある。

 視覚障害、かつ糖尿病を患っている父(夫)を母(妻)が長年面倒を見てきたこと、20代前後の子どもが4人いながら、家事や介護を母に任せっきりにしていたらしいことなどから、母への同情票も集まったのである。また、騒動の発端となったツイートでは駆け落ち相手の大学生の個人情報がつまびらかにされており、「人探しというより晒し目的に見える」といった声も聞かれた。

 駆け落ちが起こったからにはそこに両者ののっぴきならぬ恋愛感情があったのは確かだが、背景には家事・育児・介護に疲れて自由を求めた母の姿も予想される。

 このケースでは駆け落ちという極端な顛末となったが、子どもを成人前後にまで育てて育児を一段落させた妻が、自由や刺激を求めて不倫に走るケースは世の中に散見されるようである。

体験者や関係者の声を参考に、いくつかのエピソードをご紹介したい。

典型的なタイプ?
子育てを終えた解放感から

 まずは、そうした妻たちの不倫の中でも“解放感”という点で似たケースから。

 Aさん(45歳女性)は専業主婦として一家を支えてきた。会社勤めの夫と学校に通う息子2人の世話に精を出してきたが、やがて子どもが大きくなり下の息子が大学通学のため地方に出て行ってしまうと、広い家にはAさん1人。毎晩帰宅した夫と交わす会話は少なく、夕食、晩酌の用意をしておけばあとは勝手にテレビなどを観ながら寝てしまう。正直なところ、Aさんが日々に充実感を覚えることはなかった。

 Aさんはあまり社交的ではなかったが、今も仲良くしている同年代の女性が1人だけいた。以前パートで知り合ったその女性はAさんとは真逆の性格で、非常に社交的で顔が広かった。まったく違ったタイプの2人だったが妙にウマが合い、10年近く交友関係を続けてきた。

 ある日、2人はいつものように電話で世間話に花を咲かせていた。ふとAさんが日々の虚しさを口にすると、その友人は「今度ちょっとしたパーティーがあるんだけど行ってみない?」と持ちかけてきた。パーティー。

そんな華やかな場所は自分にとって無縁である。気後れを感じもするし、初対面の不特定多数と話すことを考えると億劫である。

 Aさんはまったく惹かれなかった。そう伝えたが、友人は強く推した。「パーティーといってもちょっとした飲み会を小ギレイにした程度のもの。気晴らしになるから一度行ってみよう」と。またこうも言った。

「イケメンいるかもしれないよ。おじさんだけど」

 これには、惹かれなかったといえば嘘になる。

 Aさんは自分が女としてこのまま終わっていってしまうのではないかという漠然とした不安を抱えていた。女として扱われたいという思いもあるし、胸に手を当てて考えてみれば「ときめきを感じてみたい」と思わないでもなかったのである。そこを夫は満足させてくれない。

友人は既婚者だがそのパーティーで何人かの男性と出会い、遊んだ経験があるようだった。

 Aさんはパーティーへの参加を決意した。過去に2度露見した夫の不倫がなければ、自分はそのような場所には赴かなかったのだろうか。自問自答したものの後の祭りで、事が起こってしまえば全ては言い訳でしかない。

 Aさんはそこである男性と出会い、連絡先を交換した。2人が深い仲になるまでに時間はそうかからなかった。当初は互いに既婚であるという点が深みにはまらないための砦であるように思え、気楽であったが、感情が盛り上がってからは2人の心の重しとなり、また不倫をさらに燃え上がらせるためのスパイスとなった。

「子どもが親元を離れていってしまってから、自分の時間が一気に増えたように感じました。解放感は確かに感じていましたが、『今後も自分が夫の妻であり続ける』という閉塞感、そして『このまま女が終わってしまう』という焦燥感もありました。持て余し気味だった時間を利用して自分の不満をうまく解消できるのが、あの時の私にとっては“不倫”だったのだと思います。あの時はそんな自己分析をする余裕なんて到底なくて、恋に夢中でしたが」(Aさん)

 2人の関係は1年近く続いた。「お互い離婚して一緒になるか」といった話が出て、じゃあ具体的にそこに向けて動き出そうとなった時に、夢の中にあった恋はにわかに現実の生々しさを帯び始め、Aさんは相手に幻滅するようなシーンにいくつか出くわした。

そのまま気持ちが冷めていったそうである。

>>(下)に続く

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