しかし、小説においては今もほとんどが縦書きだ。やはり文学に横書きはなじまない、と思っていたところ、ついに横書きの波が小説にまで波及してきた。しかも、名作文学においてである。
ゴマブックスが「ケータイ名作文学」というシリーズを刊行。第一弾として8月1日に太宰治の「人間失格」、夏目漱石の「こころ」を発売。第一弾の2冊は、合計5万部以上を売り上げている。
8月22日には第二弾として、芥川龍之介の「蜘蛛の糸 他8編」、太宰治の「斜陽」、夏目漱石「坊っちゃん」が発売された。
これらの作品群は、ゴマブックスが運営するケータイ小説サイト「おりおん☆」で無料で公開された小説60作品のうち、閲覧回数の多かったものだ。
いずれも名作といわれる文学だけに、現代のケータイ小説とは趣が違う。改行も少なく、歴史的仮名遣いが多いために、ただ単に縦書きを横書きに変換しただけでは、ケータイ世代には受け入れづらい。
そこで、読みやすいように文字は大きめのサイズを採用し、字間や行間はゆったりとした間隔に。
また、巻頭には小説内に登場する印象的な文章を抜粋して掲載。本文中の難しい単語には注釈が施され、理解しやすいように配慮がなされている。巻末には、読者の感想が並んでいるのも特徴的だ。ある意味、雑誌的なアプローチといってもいいだろう。
実際に本書を開いてみると、これまでの縦書きで密度の濃い文庫スタイルに慣れた目には、非常にゆったりとした印象を受ける。その影響か、縦書きで読むよりも気楽な気持ちで読み進められる。
一方、横書きの中に登場する「ゐ」や「云ふ」といった歴史的仮名遣いに軽い違和感を覚えることも。やはり、小説を縦書きで親しんできた世代にとっては、歴史的仮名遣い×横書きという組み合わせに慣れるには少々時間がかかりそうだ。
若い世代の活字離れにより、売り上げが低迷する出版界だが、アイデア次第ではまだまだ小説は読まれるという好例だろう。
とはいえ、日本語は縦書きが基本。横書きで名作文学に興味を持ったら、ぜひ縦書きで読むことにもチャレンジしてほしい。
(三浦 一紀)
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