「しーじゃとうっとぅ」は沖縄のヤンキーの絶対の掟であり、桎梏 【橘玲の日々刻々】

       

 またがっていた少年から「このバイク、お兄さんの?」と訊かれ、「そうなんですよ、せっかく盛り上がってるのに邪魔しちゃってごめんね」とこたえると、別の少年が、「兄さんも一緒に飲まない?」と誘ってくれた。こうして大学生の打越氏は、彼らといっしょに地べたに座って乾杯した。

 不良少年たちは近所の中学校の卒業生で、仲間の一人が高校を辞めようとしていたため、友だち全員に緊急の集合をかけ、高校を辞めないように説得していたのだという(そのなかにはすでに学校を中退して働いている者もいた)。学校への不満などを口にしながら酒盛りはだらだとつづき、空が白みはじめたころようやく解散になった。

 打越氏はこの出来事がずっと記憶に残っていて、その後、何度かその駐車場に足を運んだが、彼らと再び会うことはなかった。その夜のことは20年近くたった今も鮮明に覚えているという。

 打越氏が大学に進学したのは教師になりたかったからだが、大学構内の夜の駐車場で不良少年たちと朝まで飲み明かしたとき、はじめて気づいた。「大学も高校も、彼らにとっては、一部の人間のためにつくられた場所で、しらけた出来レースが展開される場所でしかない」。公務員の両親のもと、何不自由なく生きてきた打越氏は、20歳になるまで、学校がそのような場であることを知らないままだった。「そのことが恥ずかしくてたまらなかった」と述懐する。

 その後、大学院に進学した打越氏は、学べば学ぶほど、何かを話したり書いたりすることが怖くなっていった。とくに沖縄について議論するとき、その怖れは強まった。「ないちゃー[本土の人]に、ボンボンになにがわかるのか」と自問自答し、ますます行き詰まっていった。

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2019年4月25日の経済記事

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