新型コロナの感染拡大は戦後最大の脅威となっている。今回はAIを使って「コロナ減益リスクが高いアパレル企業ランキング」を作成した。

厳しくなる企業はどこかを確認してほしい。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

戦後最大の脅威となったコロナ
業績へのインパクトをAIが予測

 新型コロナウイルスの感染拡大は、日本経済にとって戦後最大の脅威となっている。インバウンド(訪日外国人)需要の消失や外出の自粛を受けて、消費が大幅に悪化。家電やアパレル、自動車など影響は広範囲に及んでいる。

 新型コロナの終息が見えない中、良品計画しまむらなど業績予想を未定とする企業も増えてきた。日本企業の先行き不透明感は強まっている。

 そこで今回は、データ分析のベンチャー企業、ゼノデータ・ラボが人工知能(AI)を使って予測した、コロナによって減益になるリスクが高いアパレル企業をランキングした。

 使用したのは、膨大なメディアのニュースや決算情報、統計データを解析し、個別企業や業種への影響を予測する、ゼノデータ開発のAI、「ゼノブレイン」である。

 ランキングの対象は、同社が独自に分類した「アパレル・装飾品業界」に属する上場企業。全63業界あるうちの一つになる。早速結果をチェックしてみよう。

はるやまHDが1位
1~4位に紳士服大手

 1位は、紳士服大手のはるやまホールディングス(HD)で「総合スコア」がマイナス93.68となっている。

 ここで、ランキングの見方を説明したい。右側の項目に「主な影響シナリオ」とある。はるやまHDの場合、有効求人倍率低下の影響がマイナス48.6、臨時休校実施がマイナス25.9、テレワーク導入がマイナス16.2となっている。

 これら主な影響シナリオの数字は、総合スコアに含まれる。総合スコアは短期的な影響だけでなく、この先1年程度の業績への影響を総合的に考慮した数字だ。

 総合スコアが大きいほど、コロナによって減益となるリスクが高いことを意味する(数字の大きさは減益幅ではなく、リスクの高低を示すことには留意されたい)。

 2位はAOKIホールディングス(HD)でマイナス82.15、3位はコナカでマイナス80.29、4位は青山商事でマイナス79.46となっている。5位は良品計画でマイナス65.27だった。

 減益に陥るリスクが高い1~4位までを、紳士服大手が占める結果となった。主な影響シナリオを詳しく見ると、コロナによる有効求人倍率の低下と、臨時休校の実施が4社共通となっている。この二つの要素がスーツ需要の減少につながり、各社の業績を押し下げる可能性が高い、と読むことができるのだ。

 なお、テレワーク導入は、はるやまHD、コナカ、青山商事の3社で、主な影響シナリオとして上がっている。

 目を引くのは、AOKIHDのリラクゼーション施設利用者減少。マイナス17.1となっている。実は近年、職場のカジュアル化でスーツ市場の縮小が続いたことから、AOKIHDは会員制複合カフェ「快活CLUB」やカラオケ店「コート・ダジュール」を展開し、事業の多角化を進めていたのだ。ネットカフェやカラオケ店は、各地で休業要請の対象となっている。その影響が数字に表れた形となった。

 ゼノデータの関洋二郎社長は「新型コロナで経済の連続性が断ち切られ、将来の不確実性がものすごく高まっている」と指摘する。

 AIを使って、今後予想され得る経済的インパクトを示すことにより、「不安を感じている企業の方が意思決定を下す上で、サポートの一つになるのではないか」と話している。

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