事業強化を進める台湾では、日本で昨年にリブランディング(ブランドの再構築)を行ったばかりの新しいラインナップの商品を2月以降に投入していく。さらに停止状態にあった出店を再開する。ハイグレードな百貨店を中心に店舗を増やし、まだ浸透していないブランドの認知度を高める狙いだ。11年度末で19店舗、売上高約7億円だが、14年度には29店舗、売上高14億円まで引き上げる。
シンガポールでも3月から順次、リブランディングした商品を投入するほか、今夏をめどにインターネット販売を開始する。さらに無添加のメリットを伝える季刊の情報誌を創刊して会員に送付するなど、矢継ぎ早に強化策を打つ。11年度末は11店舗、売上高8億円にとどまるが、14年度には15店舗、売上高15億円へと拡大する。
すでに一定の成果を出している中国ではさらなる事業拡大に向け、米国で展開中の自然派化粧品ブランド「Boscia(ボーシャ)」を投入する。化粧品販売店チェーンのセフォラを通じて近いうちに販売を始める計画だ。
アジア展開は1996年度にスタートした。
一方で中国、香港、マカオの3地域以外のアジア展開は、事実上ストップしていた。認知度が上がらずに店舗拡大が進まなかったほか、冒頭に触れた代理店契約問題がネックとなっていた。3地域以外のアジア展開は、CMCグループと共同でファンケルブランドの化粧品を販売する契約を結んだものの、締結後に出店方針などの食い違いから両社の関係が悪化し、新たな市場開拓にほとんど手を付けられなかったのだ。CMCは3地域以外のアジア展開について独占的な販売代理店契約があると仲裁機関に仲裁を申し立てており、現在もファンケルと話し合いが続いている。
すでに進出済みの台湾、シンガポールにおいても、契約上どちらに販売権があるのか、両社の主張は食い違っていた。ただし台湾、シンガポールは、CMCとの契約前から代理店を介さずにファンケルが直接販売しており、ファンケル自らが事業を展開することに問題はないとファンケルはみている。中国でのBoscia販売についても、契約の対象外にあるという認識だ。日本で先行したリブランディング商品の認可が台湾、シンガポールで取れるのにあわせて、一気に認知度を高めて、拡販していく。
契約問題に関しては、CMCグループとの一連の契約が2015年に期限を迎える予定である点も大きな意味を持ち、「2015年以降は自由にアジア展開を描ける」とファンケル幹部は言う。
この問題の解決でカギを握るのがオーナーである池森賢二氏である。名誉会長として経営の現場から退いていたが、4月に会長へ復帰する。CMCとの提携は池森氏が主導したものであり、契約問題に関する交渉で同氏が重要な役割を果たすはずだ。タフな交渉になるのは間違いない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)

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