毎年12月に発表される「今年の漢字」を振り返りつつ、『週刊ダイヤモンド』とダイヤモンド・オンラインが毎年12月にお届けしている名物特集『総予測』で、その当時の経済ニュースを学び直してみよう。(ダイヤモンド編集部)

円安・物価高による生活上での「戦」も!

 2022年の漢字は「戦」――。

日本漢字能力検定協会は12月12日、一年の世相を漢字一字で表現する「今年の漢字」を選出し、京都・清水寺で発表した。

 22万3768票の応募のうち、「戦」が1万804票(4.83%)を集めて第1位となった。

 ロシアのウクライナ侵攻により、「戦」争の恐ろしさを目の当たりにした一年であり、円安・物価高による生活面での「戦」い、スポーツでの熱「戦」・挑「戦」も注目されたことが、総じて応募者の選定理由だという。

「今年の漢字」は、1995年から毎年開催していて、今では特設応募サイトから誰でも応募可能だ。ちなみに、応募数が一番多かった漢字は他の年とかぶることもしばしば。過去には、「金」(2000年、12年、16年、21年)や、「災」(04年、18年)が複数回1位に選ばれた。今年の「戦」も01年に1位に選ばれている。

 とはいえ、同じ漢字でもその年によって重大ニュースは違うので、選ばれた理由は異なる。そこで、「過去の今年の漢字と選定理由」を振り返りつつ、ダイヤモンド編集部が年末年始にお届けする名物特集『総予測』から、その当時の経済ニュースをざっくり学び直してみよう。

金融ビッグバンからIT革命へ

「過去の今年の漢字と選定理由」を眺めるとまず、90年代後半は暗い世相や景気低迷を表す漢字が目に付く。95年「震」や97年「倒」、98年「毒」から、極め付きは99年「末」で、世も末と実感した年だったという(下表参照)。

 そうした漢字が並ぶのも無理はない。

90年代後半は、不良債権処理や不祥事で追い込まれた保険会社や銀行、証券会社が次々と経営破綻。金融ビッグバン時代での生き残りを懸け、統合・合併による再編戦略を相次いで打ち出した。99年8月には、みずほ銀行の前身である第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が経営統合を発表。10月には三井住友銀行の前身である住友銀行とさくら銀行の旧財閥系2行も合併で合意した。

 経済誌「週刊ダイヤモンド」では毎年末に、その年を振り返り翌年の動向を占う『総予測』特集を組んできた。ここで、97年末に発売された「総予測1998」特集の目次を紹介しよう。特集リード文には、【金融危機がかつてない深刻さを増すなかで(中略)「問題を先送りすることが許されない年」をどう生き抜くか】と書いてある。

 バブル崩壊を引きずる流れの一方で、99年は新世紀に向けて「末」広がりを期待する年でもあった。実際、99年は景気が持ち直し始めてもいて、小渕恵三内閣が大型景気対策を打ち出し、ITバブルが勃興してもいた。

 ちなみに、99年はモーニング娘。の「LOVEマシーン」が大流行した年でもある。30代後半以上の年齢であれば、「日本の未来は~、世界がうらやむ~」という歌詞を忘年会などで歌った人も多いことだろう。

 ここで今度は、『総予測2000』特集の目次を紹介しよう。【2000年のキーワード、インターネット「ブームから革命へ」】の文字が躍っている。

 続く02年の漢字は「帰」。北朝鮮に拉致された5人が帰国した年であり、日本経済がバブル前の水準に「帰」ったのも特徴だ。時の小泉純一郎内閣は抜群の支持率を誇り、02年2月から08年2月までの73カ月間続いた好景気「いざなみ景気」が始まった年でもある。

>>【“今年の漢字”とともに日本経済超ざっくり学び直し】は後編に続きます

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