[橘玲の世界投資見聞録] 台湾・金門島と中国・厦門、それぞれのアイデンティティ

       

 こうして、台湾海峡の危機から10年も経たないうちに、アモイ(福建)と台湾は急速に経済的に一体化していく。

 軍事の最前線だった金門島は、92年に戒厳令が解除された後、多くの台湾人が訪れる観光名所になった。その後、中国が台湾人の渡航を緩和したため、金門島経由でアモイを訪れるツアーが大人気になった。金門島の商店は台湾人旅行者のために中国本土の(コピー商品を含む)安い物産を並べ、アモイの町には金門島経由で台湾の物産が流れ込んだ。

 これが、『金門島流離譚』の背景だ。

金門島へ渡る

 以前は外国人の渡航が禁止されていたというが、アモイの東渡港国際フェリーターミナルから金門島に渡るのは拍子抜けするほど簡単だった。

 チケットは行きが160元、帰りが650台湾ドルで、日本円にして1000円前後だ。出入国管理はあるものの、大きな荷物がなければ税関はフリーパスで、外国に行くというよりも近くの島に遊びに行く、という感じだ。

 平日にもかかわらず客室は半分くらい埋まっていて、その多くは中国人の観光ツアーのようだった。1時間ほどで金門島の水頭碼頭に着くと、ATMで台湾ドルを下ろし(ATMは隣の出発ロビーにしかなく最初は戸惑った)、タクシーで10分ほどの金城に向かう。ここが金門島の中心地だ。

 金門島の魅力は、経済発展前の中国・台湾の片田舎の古い街並みが残っていることだ。軍事優先で都市開発が制限されていたためで、台北が近代都市になるにつれて“古きよき時代”を懐かしむひとたちがやってくるようになった。趣のある道教寺院の前に戦前の日本のような古い木造の商店街がつづき、観光客相手に土産物や貢糖(ピーナッツ飴)などを売っている。


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2013年2月11日の経済記事

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