『週刊ダイヤモンド』12月7日号の第1特集は「倒産危険度ランキング」。船井電機は経営破綻し、日産自動車も窮地に立たされています。
300億円もの資金流出で突然破産
低価格帯のテレビに強く、海外でも高い知名度を誇った老舗電機メーカー、船井電機が10月24日、突然倒産した。取締役の一人が取締役会の決議を経なくても出せる準自己破産を申請し、東京地方裁判所が即日で破産決定したのである。
人件費高騰に加え、物価高による原材料費などコスト増が続き、販売価格に転嫁できずに経営破綻に追い込まれる企業が相次いでいる。帝国データバンクによると、24年度は人手不足倒産と物価高倒産の件数がそれぞれ過去最高ペース。企業の価格転嫁率が44.9%にとどまっている(費用が100円上昇しても44.9円しか販売価格に反映できず、残りを企業側が負担する状態。数値は7月時点の全国平均)要因は大きく、企業の1割強は全く価格転嫁できていない。
来年度はさらに倒産が爆増する。新型コロナウイルスの感染拡大対策として、企業の資金繰りを支えた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の大盤振る舞い。それは副作用として、収益力が乏しいのに過剰な負債を抱えた〝ゾンビ企業〟を猛烈に増やした。
恐ろしいのは22年度当時、日本銀行がまだマイナス金利政策を堅持していたことだ。今後到来する金利上昇局面は、こうしたゾンビ企業に追い打ちを掛ける。来る25年度は、収益基盤がさらに傷んだ企業の資金調達が難航し、倒産予備軍の数は一層膨らむ。コロナ禍後、融資先企業の粉飾が多発していることもあり、金融庁は金融機関の甘い融資姿勢を問題視し始めている。ゾンビ企業の多くにメスが入るのは不可避である。
そうなれば破産した船井電機のグループ企業や取引先が脅かされているように、倒産が倒産を呼ぶ「倒産ドミノ」勃発の可能性は高まっていく。今こそ、経営リスクの高い企業を見分けることが重要な時期になっているのだ。