『週刊ダイヤモンド』2月1日号の第1特集は「医療機器『80兆円市場』争奪」です。日本の医療機器市場では、日立や東芝、パナソニックなど大手電機メーカーが参入していましたが、相次いで撤退しました。
御手洗会長のてこ入れ作戦は奏功するか
「また御手洗さんが好き勝手にしゃべっている」
買収後の低成長ぶりを考えると、御手洗会長がメディカル事業の強化に取り組むのは当然だ。キヤノンは現状を打開すべく、子会社のキヤノンメディカルとキヤノン本体の人員配置見直しを始めているため、御手洗会長の発言はあながち「勝手」でもない。
では、御手洗会長の掲げるメディカル成長加速プランを実現し、ライバルの富士フイルムを圧倒するにはどうすれば良いのか。
「オールキヤノン」を捨てて他社と組めば業界再編の起爆剤になれる?
キヤノンメディカルが成長のギアを上げるために必要なのは、国内トップシェアのCTの強化にとどまらない。同社はX線や超音波診断、富士フイルムとシェア争いを繰り広げるMRI(磁気共鳴画像診断)など診断機器を幅広く手掛けるため、各分野での製品力アップが欠かせない。
そこで重要になるのが他社との連携だ。以前から、主力事業のオフィス事業でも「キヤノンは唯我独尊だから他社と手は組まないだろう」(旧富士ゼロックス関係者)と言われている。大手同士のタッグが実現しつつある複合機業界でも大きな提携はせず、自社の技術力や販売力でトップメーカーの道を切り開いてきた。
だが医療機器では、超音波診断でオリンパスと提携するなど、部分的に他社と手を組んでいる。M&Aによって医療機器事業に本格参入したキヤノンは、メディカルのあらゆる分野で「オールキヤノン」を貫くことは難しいのだろう。
医療機器業界に携わる政府関係者は「国内医療機器市場は人口減少による縮小が見えているため、もう一段の再編が必要だ。