平均年収は240.4万円
今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを基に、「年収が低い会社ランキング2024【北海道・東北地方】」を作成した。対象は北海道・東北地方(北海道と青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島の6県)に本社を置く上場企業(本社所在地はダイヤモンド社企業情報部調べ)。
早速、ランキングを見ていこう。
年収が低い会社ランキングで1位となったのは、宮城県に本社を置く警備事業会社のトスネット。交通誘導や施設、列車見張り警備事業を手掛けている。
平均年収は240.4万円と、同様の趣旨で行った23年版ランキングの268.1万円から30万円近くも減り、1位は変わらずという結果になった。
2位の倉元製作所は「継続企業の前提に重要な疑義」
2位は、液晶用のガラス基板などの加工を手掛けている倉元製作所で、平均年収は315.9万円。23年版ランキングでは306.3万円だったので10万円近く増えたものの、順位は変わらず2位だった。
倉元製作所は14年12月期から赤字が続き、18年12月期に債務超過に陥った。19年12月期には私的整理の一種である事業再生ADRの利用を申請し、受理された。20年12月期に金融機関などの支援が入って債務超過を解消し、経営再建に取り組んでいる。
本ランキングの対象となる23年12月期の決算業績は、売上高が7億400万円(前期比33.4%減)、営業損益は4億700万円の赤字、経常損益は3億9900万円の赤字、当期純損益は5億5500万円の赤字と非常に厳しいものだった。
なお、2月14日に発表された24年12月期の決算では、売上高が15億6700万円、営業利益が9700万円、経常利益3200万円、当期純利益8800万円の増収増益に反転した。ただし、再生フェーズから再成長フェーズへの転換に向けた資金調達にめどが付くまで、引き続き事業再生計画の実施途上にあるという。決算書にも「継続企業の前提に関する重要な疑義」の記載は残った。
5位は光ハイツ・ヴェラス高級有料老人ホームを展開
3位はmanabyで、平均年収は339.6万円。障害のある人や難病者に就労移行支援事業を行う会社で、本社は宮城県仙台市だが、首都圏や大阪・兵庫などにも複数の事業所がある。
4位は住宅建材の卸・小売りの山大で、平均年収は366.5万円だった。祖業は杉の苗木の植林で、300年の歴史を誇る会社だ。
5位は光ハイツ・ヴェラスで、平均年収は367.3万円だった。同社は、北海道札幌市に本社を置き、入居一時金2000万円超の高級有料老人ホームなどを展開している。
最後に、ランキングの「癖」について説明したい。それは、持ち株会社(ホールディングス)と事業会社が混在していることだ。
持ち株会社として上場している企業の中には、経営企画や人事系など、少数の幹部社員だけしか在籍していないところがある。すると、その企業の実態(グループ全体)よりも年収が高く出てしまう恐れがある。そうした「癖」の影響をなるべく排除するために、従業員が20人未満の会社はランキングから除外した。
一方で、企業の中には、一般社員よりも平均年収が低い契約社員を含めている場合がある。他にも、定年退職者の雇用を積極的に進めている企業や、地方に本社を構える企業も年収が低くなる場合がある。
こうした事情を踏まえて、ランキングを見てほしい。平均年収に合わせて、従業員数や平均年齢も掲載しているのはそのためだ。
完全版では6位以下を一挙に公開する。スパリゾートハワイアンズを運営する常磐興産(米投資ファンドによる子会社化で2月19日に株式上場廃止。本ランキング対象期間中は上場していたので掲載)や、人気ラーメンチェーンの幸楽苑HD(本ランキング対象期間中の社名。24年10月1日に社名を「幸楽苑」に変更)などは何位か、チェックしてみてほしい。
(ダイヤモンド・ライフ編集部)