『週刊ダイヤモンド』3月15日号の第1特集は「名門エスカレーター校 最新序列」です。少子化に伴う淘汰の波は、一貫教育を施す名門エスカレーター校にも押し寄せています。
小学校35校中29校が定員割れ
私立の大学、高校、中学校、小学校、幼稚園は、学校法人が運営している。一部の学校法人は一貫教育を施すエスカレーター校を展開しており、総じて高い人気を誇ってきた。教育の質はもちろん、名門私立のブランドと内部進学のシステムは、高い学費と引き換えにしても得難い価値があったからだ。
名門校を中心に60学校法人をピックアップし、企業でいう売上高に相当する「事業活動収入」が高い順にランキングを作成すると、1位は国内最大のマンモス大学を擁する日本大学。2位は私立エスカレーター校の主役的存在である慶應義塾だ(下表参照)。
事業活動収入の多寡だけで大学の実力は測れない。規模が大きくても定員を満たせず、利益を出せない構造であれば、ここから先、生き残ることは難しい。少子化に伴う淘汰の波は名門エスカレーター校にも押し寄せている。
上記のランキングには親世代が憧れた名門エスカレーター校がずらりと並んでいるが、実は「定員割れ」のオンパレード。60学校法人が運営する大学68校(データ判明分)のうち、18校が定員割れしている(2023年5月1日現在、一部はその前後)。
15学校法人が赤字
定員が埋まらないと収入が減り、コストをまかないきれなくなる。故に、赤字の学校法人も大量発生している。
企業でいう経常利益に当たる「経常収支差額」について23年度実績を見ると、60学校法人のうち15学校法人が赤字となった(23年度実績)。
受験生の親世代は大学受験で熾烈な競争を経験した。私立名門のエスカレーター校は当時、学費はもちろん入試難度も高くて、入りたくてもなかなか入れるものではなかった。そうした学校に今は手が届きやすくはなったが、定員割れや赤字が続くようなら、いずれ閉校するかもしれない。
実際、大幅な定員割れや赤字が続く学校が続々と入学者の募集停止を決断している。名門エスカレーター校であっても、今まで通りに一貫教育を続けることが難しい時代に突入している。