各地で記録的な猛暑が続いている。こんなときは海水浴や川遊びを楽しみたい。
環境省の調査データで
独自ランキングを作成
各地で記録的な猛暑が続いている。こんなときは海水浴や川遊びを楽しみたいと思う人も多いだろう。水がきれいな海水浴場はどこなのか。
環境省は毎年、全国の海水浴場(一部、湖沼や河川の水浴場も含む。以下、海水浴場と表記する)の水質調査を取りまとめてきた(2020年、21年はコロナ禍で水質調査結果の取り扱いが異なることなどを理由に中止)。そこでダイヤモンド・ライフ編集部では同データを基に「水が汚い海水浴場ランキング」を作成した。
対象となったのは水質格付けが低い「C」「B」「A」の海水浴場で計272カ所。
水質の判定基準は4つある。水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD)、ふん便性大腸菌群数、透明度、油膜の有無だ。それぞれ、適(AA、A)、可(B、C)、不適の5種類で格付けされている。
4つのうち1つでもAの基準をクリアできなければ、その海水浴場は、他の判定基準がどれだけ良くてもB以下に落とされる。仮にCODが同じ値でも、AとBでは水質が異なるわけだ。
2025年の水質調査では、「不適」の海水浴場はなかった。そこでダイヤモンド・ライフ編集部の水が汚い海水浴場ランキングは、1~4位は水質Cの4カ所をCODの多い順に並べ、5~141位は水質Bの137カ所をCODの多い順に並べ、142~272位は水質Aの131カ所をCODの多さで同様に並べて作成。なお、ランキング中のCODは複数回測定の平均値である。新潟県佐渡市が未回答だった「海水浴場がある水域」は「日本海」とした。
少し専門的な話になってしまうが、CODについても説明したい。CODは、海水に含まれる有機物を酸化剤で酸化するときに、消費される酸化剤の量を酸素の量に換算したものだ。
CODが高いほど、水中に存在する有機物の量が多いことを意味し、有機物による水質汚濁の程度が大きいことになるのである。
ランキングの中には一部、川、湖沼の水浴場も含まれているので、海のない自治体に住む人もぜひチェックしてみてほしい。
さっそくランキング結果を見ていこう。

3位に出戻った
意外なビーチの名前
不名誉ながら1位となったのは千葉県千葉市のいなげの浜で、CODは6.9mg/リットルだった。23年版ランキングでは3位(CODは4.6mg/リットル)、24年版ランキングでは4位(CODは4.9mg/リットル)と、上位に入っていた。
いなげの浜は、東京湾沿岸に位置する、面積約83ヘクタールの総合公園・稲毛海浜公園にある日本初の人工海浜。19年のリニューアルの際に、オーストラリアの白砂が搬入され、浜の全長約1200mに厚さ70cmの白砂がまかれているのが特徴的だ。
また、2位の青森県東北町の小川原湖(CODは5.6mg/リットル)、4位の小川原湖公園(CODは3.3mg/リットル)、5位のわかさぎ公園(CODは4.9mg/リットル)はいずれも小川原湖畔の水浴場で、2024年版ランキングでもトップ5にランクインしていた。
小川原湖は全国の湖で11番目に面積が広い湖だ。高瀬川によって太平洋とつながっているため、海水と淡水が入り混じる汽水湖である。2006年以降、CODが継続的に環境基準値(3mg/リットル以下)を超過しているが、水質悪化の要因のひとつとして、河川などを通じて、小川原湖に汚濁物質が流れ込んでいることが挙げられる。湖は、一般的に水の出入りが悪く、流入した汚濁物質が湖底に堆積しやすい傾向があり、これも影響しているのだろう。
3位は神奈川県横浜市の海の公園(CODは5.2mg/リットル)。横浜市内で唯一海水浴ができる、人工の砂浜だ。2022年版ランキングでは3位(CODは4.7mg/リットル)にランクインするも、23年版ランキングでは10位(CODは3.9mg/リットル)、24年版ランキングでは170位(CODは1.9mg/リットル)となり水質の格付けはAランクになっていたが、25年版ではまた数値が悪化し、3位に出戻ってしまった。
今年も上位にランクインした
北海道のビーチ
6位は北海道石狩市の石狩浜で、CODは4.8mg/リットルだった。海岸線が約600mもある道内最大級の海水浴場だ。7位は同じく石狩湾に面した石狩市のジェットビーチ石狩で、CODは4.2mg/リットル(24年版ランキングでは7位でCODは4.5mg/リットル)。
なお、石狩浜は「ふん便性大腸菌が多い海水浴場ランキング2025」で14位となっているが、「透明度が高い海水浴場ランキング2025」では5位となっている。
8位は山口県山口市のきらら博記念公園月の海(CODは3.8mg/リットル)で、24年版ランキングでは47位(CODは2.7mg/リットル)だった。
9位は神奈川県平塚市の湘南ベルマーレひらつかビーチパーク(CODは3.7mg/リットル)で、24年版ランキングでは86位(CODは2.3mg/リットル)。10位は三重県松阪市の松名瀬(CODは3.6mg/リットル)で、24年版ランキングでは64位(CODは2.5mg/リットル)だった。
トップ10の内訳を見ると、北海道(2カ所)と青森県(3カ所)だけで半分を占める結果となった。
なお、ランキングは川、湖沼の水浴場も対象としている。長野県や滋賀県など海のない自治体に住む人も、ぜひチェックしてみてほしい。
また、調査時の天候や、波の状況などが結果を左右することもあるため、前年の格付けも併せて確認すると良いだろう。
(ダイヤモンド・ライフ編集部、データ担当/編集委員 清水理裕)