長時間労働の是正や有給休暇の取得促進など、これまで日本の働き方改革は“働きやすさ”を重視してきた。しかしその裏で、成長実感ややりがいを失う「ゆるブラック企業」問題も浮上している。
必要なのは働きやすさか
ハードワークできる環境か
高市早苗新総裁が就任直後に発した「ワークライフバランスという言葉を捨てる」という発言に、賛否両論が噴出した。これまで日本の働き方改革は、長時間労働の是正や有給休暇取得の義務化といった労働規制に重点を置いて進められてきた。その結果、多くの企業で働きやすさは向上したものの、労働時間の削減とともに仕事のやりがいや成長機会が失われる、いわゆる「ゆるブラック企業」問題が浮上した。
社員・元社員によるクチコミサイト「OpenWork」を運営するオープンワークが昨年発表した「社員クチコミ白書」によれば、企業に対する評価スコアを10年単位で追跡した結果、「待遇面の満足度」「風通しのよさ」「法令順守意識」などのスコアは上昇した。一方で、「20代成長環境」スコアだけが唯一下降していることが明らかになった。
そこで今回は、直近3年間でOpenWorkに一定数の投稿がある企業を対象に、平均残業時間が法定外残業時間である月45時間を超え、かつOpenWork上の有給消化率平均(66%)を下回るにもかかわらず、「社員の士気」スコアが高い企業をランキング形式で紹介する。ハードワークをこなしながらも高い士気を維持している理由を探る。
注:【対象データ】2023年から25年9月30日までに一定数の投稿があった企業2328社を対象とした。OpenWorkに投稿された平均残業時間が労働基準法で定める法定外残業時間(月45時間)を超え、かつ有給休暇消化率がOpenWork上の23年度平均である66%を下回る企業を「ハードワーク企業」として選出。その上で、「社員の士気」スコアが高い順にランキングを作成した。小数点第3位で順位づけしている。
ハードなのに満足度が高い
企業の共通点は?
トップ5は、オープンハウス、キーエンス、ゴールドマン・サックス証券、シンプレクス、オープンハウス・ディベロップメントだった。
以下、ランクイン企業に寄せられたワークライフバランスに関するクチコミを見てみよう。
「ワークライフバランスは比較的取りやすい。しかし、それも条件付き。実際には、平均して月に40時間は残業しているし、そもそも事務作業に締め切り厳守なため昼食を取らない事もある」(業務・ゴールドマンサックス)
今回、ハードワークな働き方でありながらも高い士気を保つ社員が多い企業を分析した理由として、成長実感や高報酬といった、努力に見合う「確実な報い」が得られる点が挙げられる。また、ワークライフバランスが必ずしも良好とはいえない企業であっても、企業全体の総合評価が低いわけではないことも明らかになった。
OpenWorkに掲載されている企業の過去10年間の全体平均スコアを分析した研究によると、「働きやすさ」に関するスコアは改善傾向を示していた一方で、「働きがい」に関するスコアは下降傾向を示していた。つまり、働きやすい職場環境が必ずしも働きがいの向上に結びつくとは限らないという結果である。
ワーキングパーソンが労働に求める真の価値とは、ワークライフバランスによって得られる「時間的な余裕」そのものではなく、「その時間を何に投じるか」という点にあるといえる。

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