ダイヤモンド編集部による年末年始恒例の人気企画「ダイヤモンド 総予測2026」(ダイヤモンド・セレクト2026年2月号)が発売中です。2026年のキーマンとなる総勢357人の人物名が登場し、1冊まるごとで236ページの超特大ボリューム。

編集部の総力を挙げて産業・金融の先行きを見通すと共に、経済・景気から国際問題、政治・社会・文化まで、多数の専門家が2026年を読み解きます。ここでは、株主優待の達人で知られる個人投資家の桐谷広人さんと、稀代の投資家ジム・ロジャーズ氏という異色の組み合わせで実現した、株式市場の展望を語り尽くす対談の一部をお届けします。



ロジャーズさん、
株主優待はご存じですか?



桐谷 ロジャーズさんは、株主優待はご存じですか?



ロジャーズ 日本株にはそういうベネフィットもあると知った時は驚きました。私はキャピタルゲイン(資産を売却した際の価格差益)を狙う投資をしています。日本航空(JAL)の株を持つなら最高のベネフィットは株価が上がることであって、それ以外のベネフィット(編注:航空券の割引券など)にあまり興味はありません。



個人投資家、桐谷広人氏が稀代の投資家、ジム・ロジャーズ氏に株...の画像はこちら >>


桐谷 株式投資で値上がりを狙ってうまくいけば、それが1番いいとは思います。私自身、信用取引という証券会社から借金する投資を、リーマンショックまでやっていました。しかしバブル崩壊で大損して、さらにリーマンショックで大損して、自分は値上がりを狙うのが下手だと分かって以降は、インカムゲイン(資産を保有中に得る定期収入)中心の投資をしています。



 配当金は、保有株数が少ないと微々たるものなので、株主優待を活用します。株主優待は少ない保有株数でも結構いい優待品、例えば食事券がもらえる。銘柄を選ぶ基準を「優待+配当の合計利回りが4%以上」にしてからは、うまくいっています。



ロジャーズ いいですね!投資家は自分のスタイルを持つべきです。投資で成功するコツはたったひとつ、自分の方法を見つけ出すことですからね。

私はキャピタルゲイン狙い、桐谷さんは株主優待や配当ですね。



25年の状況は過去の暴落前と似ている



――2025年は米国も日本も株価の最高値を更新しましたが、26年はどこまで上がる、あるいは下がると予測しますか?



桐谷 うーん、その手の質問、よく聞かれるんですけどね。そもそもね、先のことなんて分からないから私は「株主優待」という特典付きの株に投資をしているんですよ。24年は、「これから金利が付く時代になるから銀行株と損保とリースがいいんじゃないか」と予測しておおむね当たりましたけど……。



 25年は、あまりにも株価が高くなり過ぎました。私の株投資41年の経験則では、株価は上がり過ぎたら暴落する。「来年はこの銘柄がいいでしょう」と言うよりも、「暴落に備えて株主優待のある株、高利回りの株を買っておくこと」と言いたいですね。もし、暴落が起きても高配当株や優待株なら、リスクが少ないですから。



ロジャーズ 私も、米日の市場が非常に好調なことが、かえって心配です。米国株は09年以降ずっと上がり続けています。米国株がこれほど長く調子が良いことは、歴史を振り返って一度もありません。



 株価が永久に上がり続けるなんて、あり得ない。

私は、すでに米国株も日本株も全て売っています。売るのが早すぎたかもしれません。でも売るのが遅すぎて損するよりもいいのです。



――次に株価が暴落するとしたら「予兆」はありますか?



桐谷 バブル崩壊も予兆はなかったんです。私はバブル時代に株を始めて、「株は値上がりしていく」と思い込んでいました。それでITバブルの時も、リーマンショックの前も、株価が上がると「もっと上がるんじゃないか」と思っていた。25年の状況って、当時と似ている気がしますね。



 ロジャーズさんは日本株も米国株も売ったとおっしゃいましたが、暴落があれば買い戻しますか?



ロジャーズ どれくらい下がるかによりますね。どの株が最も下がるかを見て、最も下がった時に賢く買いたいです。今は注視してタイミングを待っています。



個人投資家、桐谷広人氏が稀代の投資家、ジム・ロジャーズ氏に株主優待を解説!異色対談で「2026年株価暴落はあるのか」を議論
桐谷広人


個人投資家、桐谷広人氏が稀代の投資家、ジム・ロジャーズ氏に株主優待を解説!異色対談で「2026年株価暴落はあるのか」を議論
ジム・ロジャーズ
編集部おすすめ