この5月に改正医薬品医療機器法(薬機法)が施行され、18歳未満への一部の市販薬の販売が制限された。
対象は濫用の恐れがあるとして国が「指定濫用防止医薬品」に指定するジヒドロコデインなどの8成分を含む薬で、店頭でおなじみの咳止めや風邪薬、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬が対象。
一回の購入量も18歳未満は1人につき1箱(おおよそ5~7日分)までに制限され、簡単に商品を手にできないよう陳列場所の指定まである。
規制強化の背景には若者を中心とした市販薬の濫用がある。
厚生労働省(厚労省)研究班が2024年に高校生を対象として行った「薬物使用と生活に関する全国高校生調査」によると、過去1年間における市販薬の濫用経験は1.4%(男性0.9%、女性1.7%)で、およそ70人に1人に濫用経験があった。
頻度は1年に1~数回が4割を占めたが、「週に数回」「ほとんど毎日」という依存を予想させる回答も1割に迫った。実際、同班の別の調査でも過去1年間の薬物濫用による依存症(使用障害)で精神科を受診した10~20代の患者の半数以上は市販薬が原因だったと判明している。
市販薬の濫用で怖いのは依存だけではない。過剰摂取によるけいれん、意識障害、呼吸の異常などの急性中毒症状では死者も出ているのだ。ファッション感覚で“パキる(酩酊状態になる)”うちに、気がついたら救命救急センターということもありうる。
濫用に使う薬の入手先はやはり、ドラッグストアなどの実店舗が半数を占める。今回の販売規制はそこに焦点を当てたわけだが、規制が故に転売や闇ルートでの取引が横行するなど逆効果を生む懸念がないとはいえない。
若者の薬物濫用の背後には、孤独や生きづらさなど薬に手を出さずにはいられない状況がある。
7月は「青少年の被害・非行防止全国強調月間」である。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)

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